不穏な日常
阿笠博士の家に来ていたコナンはテレビでニュースを見ていた。窓から外に目を向ければ3人の子供達を相手に博士が発明品を披露していた。
子供達と一緒になってはしゃいでいる姿に笑みを浮かべていれば、新聞を読んでいた灰原が眉間に皺を作りながら小さく呟いた。
「ここ最近、渋谷付近は随分と物騒みたいね」
「あ?どうしたんだよ。いきなり」
「新聞に乗ってるどれもこれもが渋谷での事故や事件ばかりだったのよ。しかもそれが動機不明な不自然なものが多いのよ」
「渋谷で?」
「ええ。コンビニ爆破に内閣府サイバー攻撃と米花町と同じかそれ以上の発生率よ」
ため息を吐きながら新聞を畳んで机の上に置いているとテレビの中で地下鉄のホームを削りながら物凄いスピードで電車がやってきた。
突然の映像にコナンと灰原の二人は画面に目を向ける。
土煙を上げながらギャリギャリと不快な音を立て先頭車両が脱線、急減速した影響で連結器部分が外れ、3両目が2両目の下に入り込む形で停止した。地下鉄脱線事故負傷者80名以上、と表示され表情を硬くした女性アナウンサーが口を開く。
『これは事故直後の映像です。警察によると運転手は負傷したものの命に別状は無く調べに対し、何故過剰にスピードを出したのか自分でも解らない、などと訴えており、詳しい動機の解明が急がれます』
「ひどいわね……」
「ああ……」
あまりの衝撃に言葉少なに言った二人はそのままテレビを見続けた。
アナウンサーは今回の脱線事故含め、同じような事故を特集として取り上げた。その中には先程灰原が言ったものも含まれていた。
その多さにコナンは顎に手をやって険しい顔をしながら偶然にしては多すぎると思った。もしかしたら「これらは全て繋がってるんじゃないか」
「え!?」
「なんて考えてるんじゃないでしょうね?」
ジト目で見られながら今まさに考えていた事を言い当てられたコナンはフイッと目線を逸らした。
それを見た灰原は考え過ぎよ、と言っていなくなってしまった。
灰原はああ言ったがコナンとしては気になってしょうがなかった。
少し情報を集めてみるか、と思いながらコナンは外で楽しそうに笑う少年探偵団と博士にもう遅い時間だから帰るぞ、と声を掛けに行った。