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 いざ授業を受けてみると、全く持ってわからなかった。いや正直「小卒だけど一応周りのやつより長く生きてるし、理解できるだろ」と思っていた。一言で言えば舐め腐っていた。しかし、それは後も容易く打ち砕かれ目の前のノートは意味もわからない単語の羅列が襲いかかってきていた。日本語難しい。

「…では赤青君。ここの正しい文法は?」
「エッ、えーっと……自発…?」

 地獄か。




 チャイムが鳴り響く。ようやく今日1日の授業が終わったところだ。センセーは自分の机の上に謎のノートを置いて、ニューヨークまでスポーツ観戦に行った。いや、本当に訳がわからないな。なんだニューヨークって。

「はぁ〜……」

 大きく息を吐いて机に突っ伏す。本当に中学舐めてた。ここまでわからないとか色々辛い。理科しかわからない現状も辛い。
再びため息をつくと、教室の扉が開いた。今終わってセンセーが出て行ったばかりなので、クラスの人が出る可能性は低い。つまり誰かが入ってきたということになる。一体誰だ?

「どうだ やつを殺す糸口はつかめそうか?」

 その声はどこか知っている声だった。誰なのかすぐに思い浮かべることができない。それを知りたいという好奇心のために頭を上げた。好奇心に混じっていたほんの少しの焦燥感を無視して


「か、らす……?」


 そこには、もう合わないだろうと思っていた人物が立っていた。一番後ろの席の自分にはまだ気が付いていない様子で、センセーとこのクラスについて話をしているようだった。嫌な風に心臓が鳴ったのは、気のせいではない

 なんでアイツが?……まさか防衛省に入ったのか?当然ここに来る人物は限られている。アイツを見ながら脳漿を絞っていると、話し終えてクラス全員を確認しようとしたのか、目が合った。
即座に目を背けたが、それも合間って確信を得たのだろう。チラリと見るとアイツは更に眉間に皺を寄せた後、驚愕し口を開けた。

「お前……なまえか……?」
「……ハハ…久しぶ、り」

 視線を逸らしながら返事をすると、いつの間にか顔を顰めながら近づいていた烏間に胸ぐらを掴まれた。

「……ッ、お前は!!今までどこに…!!」
「ハッ、相変わらずカーカー喚くんだな。カラス」
「なんだと…ッ」
「……場所を考えてもらえんかねぇ」

 落ち着いた口調で答えると冷静になったのか襟から手を離し、クラスの人に詫びていた。正直カラスが自分のことを覚えていてくれたことに自体かなり驚きだけど、更に怒ってくるとは思っていなかった。自分がやったことを考えれば、胸ぐら掴まれてもまぁ、仕方のないこと……なのかな?
正直そこまでじゃな……い…かは、自分が決めることじゃないな。

「……みんなごめんね。あー……別に特別隠そうとしたわけじゃなくて聞かれなかったから言わなかったんだけど、その……この人、烏間と同年齢なんだ」

 その発言の後、教室に驚愕の声が鳴り響いた。少し耳が痛くなったけれど仕方ない
 その後怒涛の質問攻めに合ったが、大半は軽く流した。 多くのブーイングがあったがそれに対して一言こう言った


「実は、殺し屋なんだ」


 その後見事に鎮まったので、この答えで外れてはいない様だ。

 カラスと会うのは計算外だった。
 けれど、この殺し屋という事実を告白したのは、きっと間違いではなかった。



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