「ん…あれ…私…」
目が覚めるとリビングの机の上に腕をふせていた。知らない間に寝てたみたい。昔の夢を見ていた気がする。今でも、思い出すあの映像。
(私はなんで記憶なんてもって産まれてきたのかな)
忘れてしまっていたらどんなに楽だったのかな。そんなことを考えながらふと時計を見た。時刻は夜中の1時を回っていた。スマートフォンを見ると美鈴からの返信はない。家を出たのは10時すぎ。遅くても11時半には家に着いているはず。私の脳裏には不安がよぎった。
ガチャッ
玄関のドアが開いた音がした。二階に上がっていく足音を私はすぐに追いかけた。
階段をかけあがり、私の部屋の隣の部屋にノックもせずに入っていった。
「…話がある」
「んだよ。寝てなかったのか?うん?」
軽くベッドに腰をかけている奴に私は続けて言葉を発した。
「なんでこんなに帰りが遅かったの…?」
「いろいろ話してたら遅くなったんだよ」
いろいろ?美鈴と何を話すって言うの。話すことなんかないでしょ。
「…あいつ、おまえの妹だよな?」
「やっぱり、分かってたんだね。そうだよ、貴方が殺した私の妹だよ」
私の言葉を聞きながら、上着を脱ぎ捨てネクタイを外し、ワイシャツ一枚になる。表情が一切変わらないのを見て、私は更に怒りがこみあげる。
「美鈴に、なんかしたら許さないから」
それだけを言い残し、私は部屋を出ようと背を向けた。その時だった。
グイッ
後ろを向くと同時に背後から伸びた手によってベッドに座らされ、そのまま押し倒された。
「…私部屋に帰る。離して」
「おまえさ、オイラにされた事覚えてんだろ?」
そう言って私の太ももを撫でられる。あの時の恐怖が私の脳裏に浮かんだ。
「あんなことされて、よくオイラの部屋に1人で来れたな。うん」
「鈴をっ…私は今度こそ守るんだ…。おまえなんかに…絶体…」
「威勢がいいのは変わらねぇな」
太ももを撫でる手が上に移動してこよつとしていた。怖い。嫌、やだ、、、
涙なんて流したくない。私の気持ちとは別に目からは涙がこぼれおちてきた。
「や、、だっ。…したくないっ…」
「……」
ビシッッ
「!!…いっ…」
ヤられる…。そう思って目を瞑った私のおでこに激痛が走る。驚きて目をあけると、掴まれていた片手は解放され、ベッドには私だけが倒れていた。
奴…デイダラは着替えを用意しながら私に言った。
「何もしねぇよ。…おまえももう寝ろ」
バタんっ
そう言ってデイダラは部屋を出た。取り残された私も急いで部屋を後にする。
(一瞬見えたあの表情は何だったんだろう)
私が泣き出した瞬間のあの切なげな表情。考えても答えがでないまま、部屋に戻り眠りについた。