ある日の暁のアジト。奥のサソリの部屋で暁のメンバーサソリが実験中の新薬を開発していた。
「ククッ、できたぜ」
ピンク色の液体をしたものをペットボトルへ入れ替える。ペットボトルの周りにあらかじめ用意してあった桃ジュースのラベルを貼る。
「さーて、どいつに試すかな。ククッ」
「おーい、旦那〜…っていねぇのかよ」
メンバーが共通して使うリビングにメンバーの1人デイダラはいた。相方のサソリを探しにきたが、サソリの姿は見えない。
「ん?なんだこりゃ」
机の上に置いてあるペットボトルを見つけたデイダラ。怪しい液体に不信感を露わにする。そこにもう1人暁のメンバーがやってきた。
「なんだよ、デイダラちゃんじゃねーか」
「飛段か。…なぁ、おまえこのジュース知ってるか?」
「あん?なんだよその怪しいジュース」
飛段から見ても怪しいジュースということにさらに不信感が増す。放っておこうと思った瞬間飛段がまた口をひらいた。
「それってよー、もしかして捺の手作りジュースじゃねぇの?」
「捺の…?」
暁のメンバー最年少の捺は、戦いではなく彼らの食事を任されている。料理を得意としているので、自分で考えたレシピなどをたくさん持っている。確かにその捺が作ったというならおかしい話ではなかった。また、デイダラも捺に好意を抱いている為、捺が作ったかもしれないこのジュースを飲まずにスルーはできないと思ったのだ。
(少しぐらい飲んでみるか、うん)
デイダラはペットボトルの蓋をあけ、口を付けた。一口ゴクンと飲んでみた。
(フツーのジュースだな。…ん、なんだ…これ…)
「デイダラちゃん?おい、顔色わりーぞ?」
ボムッ
飛段が心配そうに駆け寄るとデイダラの身体の周りを煙が包んだ。そして気がつくと…
「え、デイダラちゃん??」
「…げいじゅちゅはばくはちゅだ」
飛段の知るデイダラの姿はなく、そのかわりデイダラの顔、髪型をした小さい男の子の姿があった。困惑しながらもそのデイダラらしき男の子を抱きかかえる。
「おいおいおい、おまえ、デイダラちゃんか?」
「ちゃめろー!はなちぇー!」
「わっ、おい暴れるな!この野郎、ガキになっても可愛くねぇ…」
暴れる子デイダラをおとなしくさせようとしていると、ドアが開く。
「あれ、飛段1人?…って、その子…」
「捺!!なんかいきなりデイダラちゃんが小さくなっちまったんだよ!」
「その子デイダラなの?!…」
「多分…確証はねーけどここまで似てるしよぉ…」
「そいつは間違いなくデイダラだ」
そう言って入ってきたのはデイダラの相方のサソリ。頭に?がとんでいる捺と飛段に話を続ける。
「こいつは俺が開発した若返りの薬だ。まだ試作品のつもりだったが…こいつの様子を見ると完成してたみてーだな」
チラリと小さくなったデイダラを見て、首根っこを掴みながら言う。「はなちぇ!」と小さい身体をジタバタさせる。
その様子を見て、母性を感じていた捺。
(か、かわいい…!)
「あ、…あのさ、サソリ」
「あ゛?なんだ」
「デイダラが元の姿に戻るまで私が預かってちゃだめかな?」
「別にかまわねぇ。そもそも俺はガキの面倒なんてごめんだからよ」
ガキにしたのはサソリじゃねーか。と呟いた飛段の言葉は運良く聞こえていなかった。そんな飛段のセリフも眼中にない捺はデイダラに夢中だ。元々デイダラに好意を抱いていた為、彼の普段見なかった可愛らしい姿にトキメキを感じていた。
「じゃあ決まりだね。…デイダラ!」
捺はデイダラの目線まで腰を下ろした。警戒心があるのか、身体をびくつかせるデイダラ。
「(そうか、記憶まで昔のままなのか)一緒に粘土遊びでもしようか!」
「!…ちょうがねぇなぁ。つきあっちぇやるよ」
少し照れながらも、粘土遊びの誘いが効いたのか捺の方へ歩いてきた。サソリは元に戻る薬を開発してくると言って自分の部屋へと戻っていった。
「飛段も粘土遊びする?」
「俺はいいや。デイダラちゃんと2人きりで楽しめよ〜」
飛段はだるそうに部屋へ戻って行く。捺とデイダラは粘土で遊ぼうと椅子に腰をかけた。
そこから1時間はたっただろうか。デイダラは粘土で遊べることが嬉しいのかご機嫌のまま粘土をこねて、次々と新しい作品を作っていた。
「できちゃ!うん!」
「わっ、それって鳥さん?上手だね」
「げいじゅちゅてきだろ?」
なんて可愛いのだろう。そう思う捺の顔は緩み、デイダラの話を笑顔で受け答えしていた。しかし、よく見ると粘土の粉や小さい粘土が服に飛び散っていたり、顔にまで粉がとんでいた。19歳の状態のデイダラならば考えられない汚さだが、今のデイダラは幼児。汚さない粘土の使い方など知るよしもないだろう。
「デイダラ、お風呂入ろうか?綺麗に一回洗ってこよう」
「おふろ!オイラおふろだいちゅき!」
「(可愛いっ…!)よし、じゃあ行こうか」
いくら子ども状態でも相手は好きな人。一瞬まずいかな?と思った捺だったが、デイダラの可愛さにその考えは消えさった。
(元に戻る薬もまだこないし、いっか)
デイダラの手を引いてお風呂場へ向かう。脱衣所でデイダラの服を脱がし、自らの服も素早く脱ぐ。シャワーで身体を濡らし、身体を温める。
「頭洗っちゃおう。おいで」
「あーい」
捺はデイダラを前に座らせると頭を優しく洗った。暴れるかな?と思ったが、大人しくしている事に驚いた。頭を洗い終わり、身体を洗ってあげようとタオルにボディソープをつけるとデイダラが声をあげた。
「たおるいや!捺のおててがいい!」
「私の??(タオルが痛いのかな…)」
「捺のおててであらっちぇくれ!」
一瞬迷った捺だったが、子どもだし仕方ないと自らの手にボディソープをつけた。優しくデイダラの背中をこすると、気持ちがいいのか後ろに倒れこんできた。危ないと思い、お腹に手を回し支えこむ。…と同時にデイダラの身体から煙がでる。驚く間も無く、身体にかかる体重が重くなる。
「…ん、なんだ、オイラ…」
「!!デ…」
「なっ…捺?!」
「まって!こっち見ないで!!」
まさかのデイダラを抱え込んだ状態で元の姿に戻るもいう悲劇。捺は恥ずかしさで頭が回らなくなっていた。が、それはデイダラも同じだった。なにせ、意中の相手と一緒にお風呂に入って、さらには密着しているのだ。どうしていいのかわからないまま離れられずにいた。
「…デイダラ、こっち振り向いたら駄目だからね…」
「あ、あぁ…けど捺、あのな」
「サソリの薬でデイダラが子どもになってて…一緒に遊んでたら汚れて、だからお風呂にいれただけだから…うん…」
「オイラの口癖うつってるぞ。…じゃなくて、捺…手放してくれ…」
「へ?…あっ…」
デイダラに言われて自分のしている事に顔が一気に熱くなる。デイダラが子ども状態の時に抱きかかえたままになっていたので、デイダラの背中に胸があたっていたのだ。急いで手を離した捺は近くにあったタオルを身体に巻きつけた。
「わっ、私、先にあがるね。デイダラはゆっくり…」
「…捺。」
「はっ、はい!」
呼び止められた事に驚き、敬語になる。お風呂場を出ようとしていた私はデイダラに背を向けていた。
「…一緒に、入らねえか?…風呂」
「でっでも、もう子ども状態じゃないし…、私そもそも男の子とお風呂簡単に入る女じゃ…」
「んなもんわかってる。うん」
どういう事だ?と考えていると、いつの間にかデイダラの声が真後ろから聞こえた。
「…好きだ」
「…え?」
「捺が好きだ。オイラの事好きなら一緒に入れ、うん」
心臓がドクンと動いた。捺の身体より少し大きいくらいのデイダラ。振り向けばすぐに唇があるということが更に心臓を強くならした。
「…ほら、どうすんだよ」
「…私も好きです。デイダラのこと」
「こっち見て言えよ、うん」
「見れる訳ないじゃん…」
かぷっ
「ひゃあ!!」
「…こっち向いたな、うん」
首筋を噛まれた衝撃でつい後ろに振り向く捺。濡れた髪に直で見る肌。捺はそのままデイダラの顔をじっと見つめる。
「捺…」
「デ、イダラ…」
見つめあいながら次第に距離が近づいていく2人。違いが裸同士ということも気にならなくなっていた。2人の世界に入りこんでいく途中、脱衣所に向かう人物がいた。
ガラガラッ
「あー疲れたぁ〜〜。任務終わりのお風呂は最高っスね〜〜。…あれ?先輩?捺さん?」
「トっ…トビ?!」
「…てんめぇ〜〜…」
トビに怒りを露わにするデイダラ。それを察知したトビ本人は急いで脱衣所から逃げようとした。
「せっ先輩やめてぇえええええ!喝はだめぇぇええええ!!」
「待ちやがれ!トビ!邪魔しやがって!うん!!」
捺に自分の衣をかけてトビを追いかけに行くデイダラ。ホッとしたような残念だったようなという複雑な気持ちになる捺。デイダラと捺が交際をはじめるのも時間の問題だろう。それはまたのお話。