どうしよう。いつもは必ずデイダラの部室に寄って帰ってくるのに、あんな場面を見てしまうなんて思わなくて帰ってきてしまった。可愛い女の子だったなぁ…。デイダラあんな子がタイプなのかな。いやいや、あいつのタイプなんて私には関係ないし。うん。ベッドの上で自問自答を繰り返していた私はチラリと自分のスマホを見る。
(あの子と今頃一緒にいるのかな…)
いや、あいつ芸術バカだし。それはないか。だって、私が遊ぼ遊ぼって誘っても芸術優先だったしね。そんなに恋愛優先するような性格でもないし。うんうん。って口癖写っちゃってるじゃん。あー、もう!デイダラがあんなところでイチャイチャしてるのが悪い!そもそも、幼馴染の私に何か報告があってもいいじゃない。そうだ、そうだ。そう思った私はスマホのLINEを開き、シンプルなメッセージを送った。
『デイダラ彼女できたの?』
よし。彼女…ではないとは思うけど念の為。報告ないのってなんかモヤモヤするし。
ブーブー
返事はや!って電話だ。え、どうしよう。どういう感じで話したらいいんだろ。いや、普通に聞けばいいか。何も悪い事してないし、よし。
「もしもし」
「オイラだけど」
あれ、デイダラの声ってこんな低いっけ。いつものおちゃらけた感じではなく、真面目な声のトーンにドキッとした。なんて切り出せばいいか分からず黙っていると先に切り出したのはデイダラだった。
「捺、おまえ今日何か見ただろ」
「な、何かって、何がでしょう」
「わかりやすすぎんだろ。今日顔出さなかった理由それだろ」
完全にバレてる。私があの場所に居たことが。ならこっちから聞いてやるんだから。
「あ、あの女の子とは付き合ってるの?」
「いや、付き合ってねーよ」
「…え、じゃあなんで…シてたの」
「紛らわしい言い方すんじゃねーよ。あれは勝手にされたんだよ」
勝手にされた?何その漫画展開。今時そんな積極的女子がいたのかと感心した。デイダラがモテるってのはどうやら本当みたいだね、リン。
「…おまえさ」
「なんでございましょうか」
デイダラの呼びかけに半分冗談まじりで返す。すると、しばらく沈黙になった。なにこの空気。私は聞きたいことを聞けてスッキリしたことで声は明るくいつもの自分に戻っていた。
「ちょっと、いきなり黙らないでよ」
「…」
「デイダラー?聞いてるー?」
応答がない。まさかの寝落ち?でも寝息も聞こえないんたけどな。
「寝たの?寝たならき「おまえ俺の事どう思ってんの?」…え?」
突然言葉を遮られたと思ったら予想外の質問をされた。デイダラのこと?なんで今更そんなこと聞くのかな。
「何いきなり」
「話そらすんじゃねーよ。さっさと言えよ」
いつになく真剣なデイダラの声に私は圧倒された。デイダラは幼馴染で友達。小さい頃からずっと一緒にいて何かあったら必ず助けてくれて、悲しい時はそばにいてくれる人。私にとって大事な人。
「…私にとって大事な友達だよ」
「おまえは友達の女関係を気にするのかよ」
「大事な友達なんだから気にするよ。変な女に捕まってないか心配だもん」
何一つ嘘も言ってないし、盛って話してる訳ではなく、私にとって本当にデイダラは大事な存在なんだ。こんな事伝えたの初めてだし少し恥ずかしい。
「捺」
「なんだよ」
「花火大会、旦那と行くんだろ?」
「なっ、なんで知ってるのっ…!」
私まだデイダラに話してないと思うんだけどな。サソリから聞いたのかな。
「お前のことなんて考えなくてもわかるぜ、うん」
「私そんなに単純なの?」
「…捺、ありがとな」
「!」
普段全く素直じゃないデイダラからは珍しい言葉だった。びっくりする私をよそに「じゃあな」と電話は切られた。いつもと違う彼の様子が気になりつつも、明日また聞けばいいか。そう思い、私はスマホを手から離した。