忌まわしき記憶

美鈴からの連絡を待つこと1時間がたった。連絡はまだきていない。落ち着かない私は、自分の部屋の窓際で空を見つめていた。

(美鈴、大丈夫かな…)

さすがにあの男もこの世界では何もできないとは思うけど、安心なんてできなかった。私には、あの最悪な光景の記憶がまだあるのだから。




{emj_ip_0831}{emj_ip_0831}{emj_ip_0831}{emj_ip_0831}{emj_ip_0831}{emj_ip_0831}{emj_ip_0831}{emj_ip_0831}

ドーンドーン
タッタッタッタッタッタッ

「はぁ…はぁ…鈴、走って!」
「お姉ちゃん、どこまで走るの…?」
「わからない。とにかく、安全なとこまで走るの…っ!」

私と妹の鈴は木の葉隠れの里を目指して走っていた。自分達の花隠れの里から走り出して何分がたったのだろうか。足はもう限界直前だった。

「お姉ちゃんっ…!前…」
「!!…暁…」

立ち止まって鈴の目線に目を向けると、大きい白い鳥の上から1人の男が降りてきた。

「おまえらが花隠れの里から逃げた奴らだな。うん」
「それなら何だって言うの?」
「花隠れの里の秘伝書をだせ」

こいうの言う通り。私達は花隠れの里に伝わる秘伝書を持っていた。この秘伝書を狙って襲撃を受けた里は、私達兄弟にこの秘伝書を託したのだ。

「この秘伝書は花隠れの里の物だ。おまえら暁なんかに絶対に渡さない」
「…やっぱそう簡単にいかねーか。…無理やり奪うしかねーな」

敵は1人。一応私だって忍の端くれだ。こいつ1人くらいどうにかできる。妹の鈴に下がっててと伝える。

「おまえ1人くらい私が相手になる」
「言うじゃねーか。オイラの芸術…きっちり拝ませてやるよ…そら!!」
「遅い!忍法…夢幻花!!!」

夢幻花は私の得意な幻術。近くにある草花の花言葉を元にした芸術を見せるから、当たり外れがあるけど…。でも、今回は当たりだ。

(マリーゴールド…花言葉は…絶望!!)

「なんだ、幻術…?」
「絶望の夢から二度と覚めるな」

バタッ

相手の男は倒れた。と、同時に私も地面にくたっと倒れこむ。勝った…。近くにあった草花がマリーゴールドでよかった。それに、今の夢幻花でチャクラを使い切ったみたい。来るまでにあった戦闘のつけがきたか。

「お姉ちゃん!!!」
「鈴、もう大丈夫だよ」

私は立ち上がって鈴の元へ行こうとした。…その瞬間だった。

シュルルルルルルッ!

「?!なっ…(粘土?!まさか…)」
「お姉ちゃん!!!!」
「だめ!こっちにきたら…!!鈴!?」

鈴をこっちに来させないようにしようと顔を向けると、鈴の小さな身体に蛇の形をした粘土が巻きついていた。

「幻術夢幻花か。危なかったな、うん」

私の背後から声が聞こえた。振り返ると、先ほど戦った金髪の男が立っていた。

「な…んで、幻術にかかったはずじゃ…」
「オイラに幻術は効かねぇ。昔に強力な幻術にかけられたことがあってな。それから、オイラの左目は対幻術用に鍛えられてるんだよ。うん」

残念だったなと口角をあげる男。まずい…。チャクラはもう使い切ってしまったのに。

「で?秘伝書はどっちが持ってるんだ?」
「…言わない」
「この状況で強気な態度がまだできるのか」
「秘伝書は絶対に渡さない。あれは花隠れの里の大事なものだ」

ふーんと私の正面に移動する男。どちらが秘伝書を持ってるか分からなければどちらかだけ殺されるということはきっとない。隙を見つけて逃げるまで乗り切らなくちゃ。

「お姉ちゃん、助けて!」
「鈴!今はおとなしくしてて、必ず助けるから」
「姉妹愛ってやつか。芸術的だな、うん。…だが、、、」

鈴の方を見ながら男は印を結んだ。あれは土遁の印…まさか!!

「やめて!!秘伝書は渡す!!だから…」
「オイラにとって芸術は散らなきゃ意味ねぇ」

「お姉ちゃん、お姉ちゃん、助けて!お姉ちゃん!」
「お願い…渡すから…私が持ってるから…だから、妹のことは…」

私は必死に懇願した。今からこの男がすることがわかってしまったから。しかし、私の頼みは聞いてもらえることはなかった。

「お姉ちゃん、助けて…」
「鈴!!…おねがい!やめて!!」

「芸術ってのがなんなのか教えてやるよ。芸術は…爆発だ!喝!」

ドオオオオオオオオオオン

男の声と同時に鈴に巻きついてる蛇の粘土が爆発した。一瞬のできごとだった。