あッはぁ〜




「はいはい、さっさとどいてねぇ」



間延びした口調からは想像出来ない素早さでクロナは敵船の甲板を走り抜けていた。

船長の周りで武器を構えるクルーも気に留めることなく、間をすり抜ける。



「あッはぁ、終了なりぃ〜」



クロナは手元でクルクルと回していた小さめのナイフを投擲する。
喉元に刺さり、ヒューヒューと空気が鳴る。



「らん、ららららららん、らら、ららら〜♪」



悲鳴や断末魔の叫びをBGMにクロナは踊るように刃を振るう。



「…………つまんない。ーーーつまんないつまんないつまんないつまんないつまんないつまんないつまんないつまんないつまんないつまんないつまんないつまんないつまんないつまんないつまんないつまんないつまんないつまんないつまんないつまんないつまんないつまんないつまんないつまんないつまんないつまんないつまんないつまんないつまんないつまんないつまんないつまんないつまんないつまんないつまんないつまんないつまんないつまんないつまんないつまんないつまんないつまんないつまんないつまんないつまんないつまんないつまんない」



クロナは突然壊れたテープのように繰り返す。



「ーーーつまらない、」



世界は灰色だ。
色付いたことも、揺らめく思いも、そんなものありえない。

そういえば、姉貴はなんで生きてるんだろう。
アタシは、なんで殺してるんだろう?

ふとそんな疑問が首をもたげる。



「クロナ?」

「ーーー……あ、サッチだぁ」

「お前、どうした?」

「なぁーんにも、どうもしないよぉ?」

「なら、いいんだけどよ……」



いつもと何かが違う。
そんな考えが顔に出ているサッチだが、クロナは特に何も突っ込まない。



「船に戻ってるねぇ」

「何かあったら親父のところ行けよ」



ヒラヒラと手を振って答える。


高く飛び上がって船に戻った妹の後ろ姿を見送りサッチは違和感に首を傾げる。




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