キミと仲良くなりたい
初めて見た時から、彼には目を引くものがあった。綺麗な黄金の髪は王子様を連想させるし、水色から黄緑にかけてのグラデーションの瞳は神秘的だ。
それにしても、彼のオーラだ、彼のオーラは私の大好きな炎そのもの。彼はいつもにこにこと人当たりのいい雰囲気を出しているし、話に聞けば知り合いも多いのだとか、皆んなまんまと騙されている。こればかりは面白いとしか言いようがない。
だからそんな彼と"仲良く"したくて付きまとう。最初こそ嫌な顔を通り越して黒い笑顔を私に向けて、「うざいよ」と言いたげな顔で見つけたきた。それでも、彼の後ろに見える炎はやっぱり綺麗で私は思わず口に出してしまって驚いた彼の顔をいつまでも覚えてようと心に決めた。
◇
その次の日、たまたま朝早くに目が覚めて、朝食を取るために、下に降りて長机の前にある椅子に座った。
ふと、顔を上げると、私より先に彼は椅子に座って朝食をとっている。そんな彼を見て、私は机に肘をついて口端をあげた。彼はすぐに私の視線に気づいて「なんだ?」と手を止める。あは、と私は口から笑い声が漏れる。やっぱり彼はこんなにも面白い。
「ねぇキミさぁ、にこにこにこにこ演技が薄っぺらいねぇ、サタンくん。」
皮肉めいた私の声に彼の眉と口元は密かに動いて、私にいつも向ける黒い笑顔を向ける。それと正反対に私は愉快なおもちゃを見つけた様にににやにやとしてしまう。口の端は上がったまま、戻る気配すらない。
「へぇ。君の事はただの人間だと思っていたんだけど、どうやら違ったみたいだ…なんなら俺と仲良く出来そうだね」
黒い笑みかと思ったら、今度はにこっとちゃんと笑われてしまって、思わず私の口元はぎゅっと閉まり元に戻ってしまうが、私の口は止まる気配はなく「それだけじゃつまらない」と静かに漏らした
「・・・そうだ!サタンくん、私がキミに教えようじゃないか、感情も、景色も、キミが見たことないもの私が全部見せてあげる!」
「は?」
「うんうん、最初からこう言えばよかったね、下手に付き纏うよりこの方がずっと面白い」
まるで話がわからないと言うふうに目を丸くする彼、サタンくんはとても可愛いし、きっとそれが素の彼、それでも私はまだ足りなくて思わず椅子から立ち上がり、長机に乗り上げそうな勢いで彼の方に前のめりになる。
「私はね、サタンくんの未だ知らない事を知った時のキミの姿が見たいんだ!あ、これじゃあちょっと違うな・・・キミと"一緒"に見たいんだ!!」
カチャンとサタンの持っていたフォーク手から落ちれば、彼の瞳に映る私は静かに微笑んでいた。
- 3 -
*前次#
ページ: