Prolog

 藤本史郎が死んだという話はすぐにメフィストと彼の婚約者である少女に伝わった。そしてサタンの烙印が覚醒したことも。

 雨の中、葬儀は執り行われる。遅れてメフィスト一行の乗る眩しいほどのピンクのリムジンは水たまりを跳ねて到着した。道中、メフィストの携帯からアニメのテーマ曲が流れたが、彼が電話をとったのは、雨が降る車内を出てからだった。
 藤本史郎の墓前にいる烙印と話す彼を車内で眺めながら、少女は表情こそ変わらないが自身と同じ“境遇“にある烙印に興味を抱き、車窓に頭を預けて濡れた雨粒を眺める。

「今日は当分、やまないね」

 少女の後ろからのびた骸骨のような手が目を伏せる少女の頭を慰めるように撫でる。それが気持ちがよかったのか、だんだんとその目は閉じられてゆき、そのまま眠りにつく。

雨音は眠った少女の心を映すように鳴り続けた。


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