美空が酔いつぶれた後。
「空ちゃんは酔うとあんな風になるのねぇ」
「いやぁすまねぇ!まさか水と間違って日本酒飲んじまうとは思わなくてよ」
親方が頭を掻きながら謝る。自分の側に置いていた紙コップを間違われてしまったようだ。
「名前でも書いておけよなぁ、まったく」
ガンマックスの言った言葉に頷く周り。
そんな中、藤堂主任に連絡が入る。
「…お前さん達に朗報だぞ」
「What?」
「何でしょうか?」
「そこで寝ちまってるサンタからのクリスマスプレゼントだ」
「美空から?」
「姫からのクリスマスプレゼント…楽しみだな」
「あぁ」
「今届いたから…お、来た来た」
運ばれてきた大きな箱。中を開けると、それぞれのイメージカラーでラッピングされたギフトボックスが。
「開けていいかなぁ?」
「勿論。お前さん達の物だからな」
「わーい!何だろ〜!」
中にはオイル給油用の携帯ボトルが入っていた。
携帯ボトルにはそれぞれ彫り物がしてあり、一目で誰の物か分かるようになっていた。
「これは…」
「サッカーボールとフェイだーっ!すごぉいっ!!」
「私等のは合わせると絵柄が繋がるようになってますぜ、ほらカゲロウ」
「あぁ、凄いな…」
「気に入ったか?」
「はい!」
藤堂主任はデッカードが動かないことに気づいた。
「どうしたデッカード」
「藤堂主任…ボトルの底に」
「ほぉ…こりゃあ知らなかったな!」
「え?なになに?」
「お前さん達、ボトルの底を見てみな」
言われた通りにする。ボトルの底には。
"大切な君が安らげますように"
と、刻まれていた。
「嬢ちゃんはお前さん達が、自分の料理を食いたいって言ってたのを聞いて…少しでも楽しく、ゆっくり安らいでほしい、と考えたんだろうな」
「美空…」
「大事にしろよ〜。なんせ嬢ちゃん徹夜でデザインも装飾も作ったんだからな」
その言葉に全員が彼女を見る。
静かに寝息をたてる美空は、あれだけデッカード達が騒いでも寝ている。
「冗談言うなよおやっさん。当たり前だろ」
「うん!」
「大切に使うであります!」
「あぁ、使うのが勿体無いくらいだぜ」
「おいおい、使わないと美空に口移しで飲まされるぞパワージョー?」
「んなっ!?このっ、マクレーンてめえ!」
笑い声が部屋を包む。それと連動するようにクリスマスツリーが優しく点滅していたのだった。
「じゃあデッカード、美空お姉ちゃんをよろしくね」
「あぁ。シャドウ丸、勇太達を頼む」
「はい。では…変化!」
先に走り出すシャドウ丸。パワージョーは子供達を、マクレーンはせいあさん、ダンプソンは綾子さんを送りに行った。
デッカードの後部座席には美空が寝ている。
「デッカード、待たせたな。美空君の荷物を置かせてくれ」
「はい、では助手席にお願いします」
ドアを開けると何故か乗り込んでくる冴島総監。
「冴島総監?」
「デッカード君。くれぐれも、送り狼にはならないでくれたまえよ?」
「総監!?」
「はっはっはっ!冗談だ!では、彼女を頼んだぞ」
「は、はい」
そう言い降りる総監。
(酔っぱらいの扱いは大変だ)
今日で学んだデッカードは、ゆっくりと走り出した。
「ふぅ…」
信号待ちで止まるデッカード。その時後部座席の美空が身じろぎした。
「美空?…起きたのか?」
「デッカード…」
「なんだい?」
「むにゃ…」
どうやら寝言のようだ。
小さく笑う。
信号が変わりまた走り出す。
「今日はありがとう。君の気遣いが、プレゼントがとても嬉しかった。みんなも喜んでいたよ」
「ぅん‥うん…」
「私達も…私も、君を愛しているよ」
「ふふ…」
美空の自宅まで静かに走り続けるデッカード。空からは雪が祝福するかのように降り出し、街を白く染め上げるのだった。