☆素敵サイト様 -Everlasting-様から
相互記念としてお持ち帰りいたしました。
貴サイト様の夢主名は明日奈さんです。
こちらの世界にこんにちわ。
「………夢?それともドッペルゲンガー?」
≪ロボットにも、ドッペルゲンガーというものがあるのか?明日奈…≫
「うーん…、だったらこれは、どういう光景なんだろうね」
明日奈は背後のファイヤージェイデッカーを一瞥し、それから真正面にいる自分と同年代位の少女と、勇太と、その背後にいるカゲロウ、シャドウ丸、デュークを除いたデッカード達ブレイブポリスメンバーに視線を戻した。
(逃亡した爆弾魔がヤケクソになって投げて来た大量の爆弾を回避するために全員が散って、勇太と私はそれぞれスーパービルドタイガーとファイヤージェイデッカーに掬い上げられて…。その後爆弾が一気に爆発した衝撃みたいなのがきて、それから手の中から出された時にはもうこうなってたって事で…)
「ま、考えても埒は開かないわね。勇太!一体何があったか分かる?」
「えっ…、お、お姉さん、何で僕の名前知ってるの!?」
「へ?」
≪勇太!?一体どうしたんだ!≫
「えっ…、え、えええ!?そっちのロボットさんも僕を知ってるの!?」
≪勇、太…?≫
明日奈もファイヤージェイデッカーも、勇太の発言に揃って虚を突かれ沈黙。
そして更に、
≪勇太!下がってろ≫
≪ああ、未だよく分からねーが、ボスが狙いの新手の暗殺連中かもしれねー≫
≪ほら美空も下がってて!≫
「え、いやちょっと待って、あのロボット…」
≪美空?奴等を知っているのか!?≫
向こう側でもパニックと勘違いが起こっていて、中でも見知らぬあの少女はこちらを驚愕の体で見つめている。
その瞳に、明日奈は賭けてみる事にした。
「ファイヤージェイデッカー、合体を解除して。ひとまず投降の意志を見せるよ」
≪え?≫
「何にしても、これ以上向こうのデッカード達を刺激しない方が良い。こちらに敵意が無い事を示して、話を聞いてもらうのが一番早い状況把握の手段だと思う」
≪…了解≫
言われるまま合体を解除し、デッカードとジェイローダー、デュークとファイヤーローダーがこの場に降り立った。
それを見た向こう側のブレイブポリス一同は、それはもう大いに驚愕。
≪わ、私…だと?≫
「えっ…、ええええっ!!?デッカードが、もう1人いる!!」
≪馬鹿な!そんなはず…≫
≪だが…どこをどう見ても、デッカードそのものだ≫
≪ももももしかして、どっかの犯罪者が同じデッカード造っちゃったとか!?≫
≪…明日奈、逆に警戒されている気がするが≫
「うん、仕様仕様、仕方ない。デッカードもここは我慢して」
≪わ、分かってる…≫
デュークの苦言にも近い訴えに肩を落としながら、犯罪者ロボット扱いになっている事にボディを震わせるデッカードに、早まらないよう釘を刺すのだった。
それから…
「では、そちらも爆弾魔の犯罪者集団を追っていて、逃亡する寸前に大量の爆弾を投げられたと?」
「ええ、そうですね。つまりどっちも同じ状況下にあって、爆破の煙が晴れたと思ったらそこにはあなた達が居た。そしてあなた達は何故かここに居た、と」
「無難に推測するに…」
「この状況は…」
「「パラレルワールドからのタイムトリップ?」」
明日奈と、そして白星美空と名乗った少女は、初対面ながらも中々息の合った状況確認を行なった。
単純な話、双方の世界で同時に大規模な爆発が起こり、その威力と衝撃で次元が歪み明日奈達がこちらの世界に引っ張り込まれたという事。
「ねえねえ美空お姉ちゃん、パラレルワールドって、ここと同じもう1つの世界があるっていうあれ?」
「そ。非科学的だって思う人がほとんどだろうけど、現にこうしてデッカードがもう1人存在しちゃってるわけだしね。信じないわけにはいかないでしょ。ねェデッカード?」
≪あ、ああ…≫
向こうのデッカードに、そして他の仲間達に恐る恐る目を合わせられ、こちらのデッカードもピッと肩に力を入れ見つめ返す。
明日奈はそんな彼に同情混じりに苦笑しながら、こちらの世界の勇太を見た。
彼も、自分の弟と何も変わらない、澄んだ瞳を持っている。
世界が違っていてもそこは同じという事が嬉しい。
「つまり、この友永明日奈さんは別世界の人で、その世界にいる勇君の実のお姉さん。そして同じブレイブポリスの刑事さんって事だよ」
「…じゃあ、僕の姉ちゃんが2人じゃなくて3人いる世界があるってこと?」
「更に他の世界ではもっといたりするかもよ?」
「ええ!?」
驚く反応すらそっくりな様に思わずクスクス笑ってしまう。
≪明日奈、ではこれからどうする?爆発が原因で次元が歪み引き起こされた事態だというなら、同レベルの衝撃が起こり得なければ我々はここに取り残されたままになるぞ≫
「分かってるよデューク。けれど、それをするには2つの世界で同時にその衝撃を起こさなきゃいけないわけでしょ?その時点で…ん?」
そこでふと視線を感じ、振り向けば、向こうのマクレーンの後ろに半分隠れながらこちらを窺っているドリルボーイの姿が。
その目には若干の警戒と好奇心が浮かんでいて、明日奈は努めて親しみやすい笑みで以て返した。
「どうかした?こちらのドリルボーイ刑事」
≪えっ!!≫
途端にビクッとなってマクレーンに隠れるが、また恐る恐るこちらを覗き見てくる。
こちらの彼は大人しめなのかな、なんて思っていると、その目は明日奈からゆっくりデュークへと向けられた。
≪あ、あのさ…、そのデュークって人も、明日奈の世界のブレイブポリスなの?≫
≪≪「え?」≫≫
その思いがけない質問に、明日奈達は目を見開いた。
確かに現場にいるブレイブポリスの中に、カゲロウ、シャドウ丸と共にデュークの姿も見当たらないが、別任務で居ないだけと思っていた。
そうするともしや…
「…美空さん、こちらの世界にこのデュークはいないんですか?」
「あ、ああ。いないです、けど、これから…」
「え?」
「いえっ!…はい、デュークという刑事は、居ないですね…」
どこか様子がおかしげだが、それよりも残念そうにしているデュークに気が引かれ、ポンポンと彼の足を叩いてやった。
「じゃあ紹介しますね。彼は騎士刑事デューク。ビークルは救急車で、カゲロウ、シャドウ丸同様に隠密回路を搭載していて、合同捜査も可能なんです。勇太とデッカードのように、普段は主に私と行動しています」
≪騎士刑事!?≫
「うっわ〜!カッコいいね!」
「だって。良かったわねデューク」
≪あ、ああ…≫
≪明日奈、空気を割ってすまないが、もう少しこの状況に危機感を持った方が良いんじゃないのか?≫
「うん分かってる、分かってるよデッカード、これでも結構動揺を表に出すまいと必死なの」
タイムトリップなんて芸当が、まさか本当に起ころうなど考えもしなかったのだ。
それも自分が体験するなど…。
はあ、と重いため息と共に額を押さえる明日奈に、デッカードもデュークも慌てて屈み、心配げに様子を伺う。
「…あ、あの、明日奈さん!」
「え?」
そこで勢いづいた勇太に呼ばれ、ふと顔を上げた。
異世界の別人だとは理解していても、弟に「さん」付けで呼ばれる違和感はどうしようもない。
「心配しなくても大丈夫だよ、明日奈さん達が元の世界に帰れるように、僕達も協力するからさ!」
「え…」
≪勇太?≫
「だって、困ってる人を助けるのは警察官として当たり前じゃんか!異世界の人とか、そんなの関係ないよ」
ねっ、美空お姉ちゃん。
そう言って勇太に同意を求められた彼女も、周囲と同様に驚いてはいたが、すぐ満面の笑みで頷いた。
「その通り!偉いぞ勇君、それでこそブレイブポリスのボスだ!」
「えへへ〜」
褒められ、途端に照れ出す勇太に微笑んで、美空はまだ唖然としている明日奈達に視線を戻す。
「というわけで、冴島総監達にも事情は話しますから、ひとまず明日奈さん達も一緒にデッカールームへ行きましょう」
「え…で、ですが…」
「困った時はお互い様。それに今回の件は、もしかしたら私達の方がそちらの世界に行っちゃってた可能性もあるわけですしね。他人事なんかじゃありませんよ」
絶対何とかするから安心してと、両肩に手を置いて元気づけてくれる美空に、明日奈は安堵からうっすらと目に涙の膜が出来た。
まだ確証も無いというのに、彼女の瞳には既に確たる何かがあるような、そんな希望を浮かべているように見える。
明日奈は込み上がりそうになった嗚咽を何とか飲み込み、「ありがとう」と一言返すのが精一杯だった。
≪あ、そうするとアレだよな。しばらくはそっちのデッカード達とも一緒に過ごす事になるよな?≫
≪ああ、そうなればデッカードが2人になるわけか≫
≪どっちもデッカードだし、紛らわしいぜ≫
≪そう言われればそうだな≫
≪じゃあ僕達で渾名考えようよー!≫
ロボット刑事達も受け入れてくれたようで、デッカードもデュークもホッとしている様子。
「それじゃあ行きましょうか、明日奈さん。それにデッカード刑事、デューク刑事」
明日奈の手を引き、先導して歩いてくれる美空。
それはまるで、先の分からない道を率先して進み、出口を切り開いてくれる導き手のよう。
はたしてこの状況が逆であっても、自分も彼女のように上手に不安を包んであげられただろうか。
なんて、少しの羨望を交えながら、重ねられている彼女の手を離さぬようキュッと握り締めた。
END