プロローグ

身体に感じるこの痛みは何なのか。
自分が怪我をするような行動をした覚えが無い。
五感も記憶も、全てがどこか曖昧で、周囲の事象は壁に隔てたかのように明確に届かない。


「起きてくれよ」



突然誰かの声が聞こえ、目を開く。

(だ、れ…?)

視界に入る自身の頬を撫でたこの人物は誰なのか?身体を包んだ熱の相手を思い出せない。

「側にいてくれ…」

慟哭を聞いたのを最後に、彼女は意識を失った。

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