summer vacationでワイワイ!(1)

超人の華々しい勝利には、血の滲む努力と数多のキズがつきもの。

「ひゃああ〜!疲れた〜っ!」
「お疲れ様です。二世」
「タオルありがとう。ミート」
「俺にももらえるか?」
「はい。どうぞキッド」
「ごめんミート君。手伝うよ」
「ありがとうございます。沙希さん」

夏も終わりに近づく中。
H・F1、2期生は、強化合宿を行っていた。
候補生の時のように特別な機具は無いが、砂浜を裸足で走るベアフットランニングで膝間接の負担を減らしつつ足底筋と下腿筋を鍛えたり。景勝地の山深くから、川を渡り崖を登り、時間内に特定のコースを通り帰還しないとメニューにペナルティを加算されるなど。
自然に囲まれながら、教官として指導する一部の伝説超人レジェンドに怒鳴られ、彼等は全身を使い鍛えていた。

「ガゼル君、さっきのビーチフラッグめっちゃ速かったね」
「ガゼルマンは瞬発力があるからなぁ」
「ありがとう。そういうセイウチンだって、遠泳は一番早くゴールに着いてただろう。今回の合宿は、オレ達化身超人の性に合うようだ」
「そうかぁ…」

沙希が万太郎達のクールダウンのストレッチを補助していると、教官であるジェシー・メイビアが声をかけて来た。

「おぉ、お前達。此処にいたか」
「どったの?メイビア先生?」
「他の面々にはもう伝えたんだが…ハワイの超人育成施設から急に呼び出しがかかってな。私は明日の合宿に参加できない」
「えっ!?」
「よって、明日は休みだ」

その言葉にいち早く歓声をあげたのは万太郎。

「やったぁ〜!休みだ〜!」
「こら二世!」
「ハハハ!今回皆頑張っているから、教官達と相談して決めたんだ。勿論、私の代わりにお目付け役として他の伝説超人レジェンドが来るから、あまり羽目を外すなよ?」
「はぁーい!」

最後の一言と共にウィンクをぱちり。
どことなく含み笑いを浮かべながら、ジェシー・メイビアは去っていった。

「明日はどうしよっかな〜!海水浴場でナンパしようかなぁ?でも花火もしたいし…」
「まったく、すぐこれなんだから」
「まぁまぁミート君。せっかくのお休みだから、はしゃいでも仕方ないよ。ミート君もゆっくりしたらどうかな?」
「沙希さん〜…」

こうして突然の休みに浮かれる彼等は、それぞれの過ごし方を悩みながら就寝した。
翌日。晴天に恵まれた合宿地に浮かれた声が響く。

「いやっほーいっ!おはよー沙希さん!」
「朝から元気だねぇ…万太郎君」
「あはは、昨日から楽しみで楽しみで」
「今回頑張ってたからね」

いつもならスパークリングや練習をごねたりしながらやり始めるのだが。
以前に比べて、彼は真面目に取り組んでいた。

「ミートがバラバラにされて…僕が戦えなくなった時に、ケビンとかスカー…皆が駆けつけてくれたでしょ?」
「うん」
「すごく嬉しかったんだ。本当に。だから、もし皆が困ってたら。今度は僕が助けになれたらいいなって」
「いいね…素敵だね。万太郎君」
「そ、そうかなぁ〜っ」

てれてれと頭をかく彼に、沙希は言った。

「でもまだ朝の4時だよ…」
「あ、あは…」
「軽く自主トレして、お風呂入ってから遊びに行ったら?」
「そうするよ。えっと…沙希さんは?」
「お目付け役の伝説超人レジェンドに挨拶しに行こうかな。今後のメニュー構成とかスケジュールとか気になるし」
「えぇー!休みだよ?パーッと遊んだりしないの?」
「とりあえず仕事終わってからかな。あ、食材まだあったっけ?買い物も行かなきゃ。何時までかかるかな」
「うわぁあん!沙希さんとあーそーびーたーい!!」

床の上で洗練されただだっ子の動きを見せる万太郎に笑いが止まらない。

「分かった、分かったから…ふふっ、とりあえず伝説超人レジェンドに挨拶終わったら連絡するね」
「うん!じゃあまた後で!」

朝っぱらから起こされたにしては、機嫌よく目覚められたのは、自分も楽しみにしていたからだろう。
すっきりと起きた沙希は、寝汗をシャワーで流して、備え付けの飲料水を飲む。

(そういえば、皆水着あるのかな?私持って無いんだけど…)
「まぁ、いっか。とりあえず準備しなきゃ」

こっそり自分用に持って来ていたお菓子を朝食代わりに食べ、身支度を整えた彼女は、教官達にあてがわれた大部屋に向かった。

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