summer vacationでワイワイ!(6)
「あれ?沙希さんは?」「さっきまで其処で…」
新世代超人ニュージェネレーション達が気づいた時には、沙希はすでに岸から離れた場所に進んだ後だった。
「沙希さんは…、いた!」
「あの馬鹿!」
「え?!泳げんの?!」
「分かんないよっ!」
「頑張れ〜!沙希さぁ〜ん!!」
小さく見えていた肌色を掴む。
泣きながら必死に浮いていた少年は、救助に来た彼女にすがりついた。
「もう大丈夫だよ」
「うわぁぁああんっ!!」
後は戻るだけ。
(岸の端目指せば大丈夫、大丈夫…)
ところが。
沖には、波の他に恐れなければいけないものがあった。
鮫だ。黒い背鰭を露に迫る姿に沙希が気づいた。
手から炎を出し推進力にするが、スピードを出し過ぎるとしがみついている少年が落ちる。
鮫を攻撃すれば、血の臭いで他の鮫が来るかもしれない。
(ヤバイヤバイヤバイヤバイ!)
要救助者がパニックになったら困るため、彼女は悲鳴を押し殺し泳ぎ続けた。
鮫の鼻先で間一髪という場面は、精神衛生上数えるのを止めた。
後ろの気配は消えない。
少年の息遣いは、徐々にか細くなってきた。
(低体温症かもしれない…)
二人の体力はいつまで持つか。
最悪のシナリオを考え始めた時。
上空から声が聞こえた。
「大丈夫か沙希さん!」
「い、イリューヒン!」
「今助けます!」
「先に、こどもを…っ!」
「だが」
「早く!この子、低体温症かも、優先して!」
「…分かった。必ず戻る!」
離れる赤い機体を見送り、沙希は泳ぎ出した。
しかし、獲物が鼻先で捕まえられず焦れたのだろう。
後ろから大きく跳ねた鮫が、今まさに彼女に襲いかかろうとしていた。
背中に掛かる影に沙希が振り向くと、鋭いノコギリのような歯が。
「「ベルリンの赤い豪雨ぅぁああー!!」」
目前から消えた。
「…へぇ?!」
「無事か沙希!」
「わぁっ!?ブロッケンJrさん?!」
「このクソ鮫がぁ!沙希さんを狙うなんてふざけてんのか!あぁん?!」
ヤクザも裸足で逃げ出しそうな剣幕で首を傾け怒鳴るジェイドに、大事そうに沙希をボートに乗せて抱き締めるブロッケンJr。
極限状態の中で天国と地獄を体感した沙希は、緊張の糸が切れて意識を失った。
(沙希?おい沙希!)
(レ、レーラァ!岸に急ぎましょう!)