summer vacationでワイワイ!(5)

「大変だ!!子供が沖に!」
「「!」」

どこからか聞こえた悲鳴に、穏やかな時は水泡の如く弾けて消える。
脊髄反射に従い立ち上がった二人の身体は、状況把握に努めようと砂浜へ飛び出していた。

「何があった!」
「家族連れの観光客が乗ったビニールボートが離岸流で沖に!助けようとしたサーファー数名がさらに離れた場所まで流されてます!」
「ビーチの監視員は?」
「数名サーファーの方に向かってますが、波が高くて!」

無闇に飛び出さず、状況を把握したブロッケンJrは、新世代超人ニュージェネレーション達に指示を出した。

「子供の体力を鑑みて、セイウチン・クリオネマンが先行しボートのほうを対処しろ。ケビン・ジェイドがサーファー。残りは救護の手伝いだ。沙希、手当ての指示は頼んだ。俺はサーファーの方に行く」
「分かりました。お気をつけて!」
「おう」

一瞬絡んだ視線を断ち切り、互いに行動を開始した。
数日前に天気が荒れたせいか波が高い。
波音に掻き消されながらも遠くから助ける声が聞こえる。
残った万太郎やキッドが救急車の手配と案内、スカーとデッドシグナルが野次馬や善意の介入者を規制する。

「余計な手間かけさすなっての!」
「スカー!!」
「…チッ、スミマセン」

小競り合いになりそうな気配に沙希が鋭く叫ぶ。
試合で動いているほうが性に合う彼は、正義超人としての行動にまだ慣れない。
H・Fの座学で寝てるヤツだ。
実践でやって見て、難しいことが分かっただろう。
そうこうしているうちに、サーファー数名が救助され、彼女も忙しくなる。
毛布をかけ、体温・バイタルチェックを行い、後は本職である救命士に任せる。
何度か繰り返しているうちに、今度はビニールボートの家族連れが救助された。

しかし。

「まだ、まだ息子が沖に!」
「え?!」

よく見れば、さらに離れた場所に小さく見え隠れする肌色が。
咄嗟に辺りを見渡すが、新世代超人ニュージェネレーション達も、ブロッケンJrも手が空いていない。
足元に蹲り泣き叫ぶ母親。
沙希は覚悟を決めた。

「大丈夫。絶対助けますから」

彼女は一人。海に飛び込んだ。

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