甘さに吞まれる(1)
「いやぁ〜今回も楽しかったのう!」「あぁ」
「ロビンは子供達にタワーブリッジをせがまれて行列が出来ていたな」
「ハハハッ!そうだったな。だが女の子にもねだられた時は驚いたよ…」
一世を風靡するアイドル超人達が和気あいあいと語るのはキン肉ハウスの中。
超人委員会が何回目かに開催したファン感謝祭。短い期間ながらも大盛況を収め無事終了したイベントを、彼等は宴会をしながら振り返っていた。
「沙希〜!つまみまだか〜?」
「今持っていく!後少ししたら追加のおかずできるから待って!」
「お〜っ!頼むぜい!」
「沙希さん、すごい手際ズラ」
キン肉マンが活躍するようになってから、来客が増えて寂しく思う暇もないくらい忙しい沙希。
今も大酒呑みにつまみと料理をねだられて、拡充したスペースのキッチンをフル稼働中である。
トマトとモッツァレラチーズのカプレーゼ、枝豆、カスベの煮こごり、シーザーサラダと春雨サラダ、出前のいなり寿司や手巻き寿司に春巻、鳥モモ肉のパリパリ照り焼き22枚とラザニアは事前の準備していたものを含め吸い込まれるように消えた。まるで掃除機だ。
気を遣ったラーメンマンが調理を手伝ってくれるが、自分の分まで取り置きしていなかった沙希はお腹を空かせていた。
「沙希さん、この料理が完成したら休んだらどうかな?まだ貴女の夕食がまだだろう?」
「ラーメンマンさん…!」
「何、中華料理なら私も作れるさ。いつも美味しい料理を我々に作ってくれる、せめてもの礼だ」
「貴方だけですよぉ〜!そこまで気を遣ってくれるの!」
「ほら、私のことはいいから。ご飯食べてきなさい」
「はーい!」
好意に甘えて彼女は宴会の輪に入った。
キン肉マンとウルフマンに手招きされ、二人の間に腰を下ろす。非番の二人は珍しくTシャツや浴衣を身に纏い、側にいやすい。
「はぁ…やっとご飯だ」
「いつも悪いな」
「いえいえ。確かに大変だけど、皆が来てくれると寂しくないから」
「……そうか」
「はい」
「お、そうだ。手巻き寿司といなり寿司、俺とジェロニモが取っといたから食べな」
「沙希ちゃあん!ミートと私もお肉とサラダ、取っといたぞい!」
「ありがとう四人共!いただきまーす!」
ありがたい申し出に、沙希は友達が取っといてくれた料理に手を伸ばした。
(空腹だった胃袋が喜んでいるのが分かるよ〜)
その後、ラーメンマンが作ってくれた餃子や天津飯に舌鼓を打っていると、酔って暴れたバッファローマンがテリーマンにぶつかる。ナツ子をかばったテリーマンはブロッケンJrに背中からタックルする形になり、ブロッケンJrはウルフマンにダイブする結果になった。
「うおっ?!」
「わ、悪ィなウルフマン」
「大丈夫だ」
「ゲホッゲホッ、げっーほげほ!!」
「大変じゃ!沙希ちゃんが喉を詰まらせた!!」
「「何ぃ!!?」」
ゲホゲホゼイゼイ噎せる彼女の顔色は悪い。
「沙希さん!お水!」
ジェロニモが咄嗟に近くにあったグラスを引っ掴み沙希に渡す。何とか飲み下し落ち着いた沙希は彼に礼を言った。
「ありがとうジェロニモさん…はぁ〜危なかった」
「スマン沙希!大丈夫か?」
「はい!大丈夫です」
(でもちょっとお水の味が…温いせいかな?)
しばらく沙希はその水を飲みながら食事を続けた。