「銀さんとちゃんと話しておけばよかった…」
我慢の限界のなまえはそう言うと携帯を切りアジトに潜入した。
倉庫内部に入り、ドアを一つ開けると色とりどりの包み紙やリボン、そして空き箱が床に散乱していた。
「もういくつか食べられた後みたいだ」
「先を急ぐアル!」
忍び足で倉庫を回るが、なかなか見つからない。しばらく歩いていると、どこからか話し声が。
どうやらここがひったくり犯達の部屋のようだ。中から包み紙をはがす音、箱を投げる音、そして食べたチョコの批評の声が聞こえる。
「…」
これ以上被害を出させる訳には行かない。なまえと神楽は部屋の扉を開けると犯人二人に飛びかかった。
「自分がチョコ貰えないからってひがんで盗んじゃねぇよテメェェエ!」
「テメェ等母ちゃんの子宮から出直してこいやぁぁぁあ!!」
「「ぎゃあああああ!!」」
悲鳴が倉庫内部に響き渡った。
通報を受けた真選組が倉庫の扉を開けるとそこには、床にリボンで作られた矢印。
矢印を辿って着いた部屋に入ると。
「なんだこれは」
「…」
綺麗なリボンで縛り上げられたボコボコの犯人二人。額には空き箱に貼ってあったシールが貼り付けられていた。
「ハッピーバレンタイン、か」
土方は小さく吹きだすと、犯人二人を連行していった。
[という訳でバレンタインチョコ連続ひったくり犯は真選組と、犯人二人を追跡した二人の恋する女子のおかげで無事捕まり…]
「あー疲れた。神楽ちゃん、協力してくれてありがとう」
「アイツ等チョロかったアル」
「途中で電話切るから心配したんですよ。ね、銀さん?」
「え、横にいたんだ」
「……」
万事屋に戻って会話していると、無言で銀時が手を差し出してきた。
「「「?」」」
「チョコ…銀さんにください!そんで、3倍返しする権利ください!お願いします!!」
「あ、倉庫に忘れてきた」
「え゛!?!」
「あはははっ!嘘嘘、ありますよ。…じゃあ美味しくないかもしれないけど、受け取ってください。…いろいろ、ごめんね?銀さん」
「…っ!」
彼は横にぶんぶんと首を振ると、自分宛てのチョコを食べ始めた。
「子供か」
「子供ですね」
「あれ、泣いてね?あのモジャモジャ泣いてね?」
「うるせー!美味いんだからしょうがねぇだろがぁ!前飯食った時よりすげー美味いんだぞこれ!」
「あー、疲れてたし…適当に作ったご飯だったから。今回は大丈夫!銀さんのことしか考えないで作ったから。それ愛しか入ってないから。心して食え」
「ははーっ!」
ふざけながら、笑いながらみんなでいるのは久しぶりだった。
(仕事より大事なものか)
大切なものは。
「銀さん」
「ん?」
「…大好きだよ」
「!?」
「神楽ちゃんも、新八くんも。大好き!」
「「ありがとうなまえ(さん)!」」
みんなでニコニコしているといきなりなまえが叫んだ。
「ああっ!!」
「どうかしましたか?」
「有給使って仮病で休んでんのに、テレビ写っちゃった!!やべ!」
「うわーなまえが今回
「会社辞めろとか言われたらどうしよう…」
なまえが嘆いていると。
「いいじゃねえか」
「え?」
「寿退社、しない?」
「……え?」
「いや、カメラ探さないで。マジだから。銀さん真面目だから」
「…」
しばらく銀時となまえは見つめ合っていたが。
バタン
「ぎゃああ気絶した!そんなに嫌なの!?」
「いいから布団に寝かせて!」
「ああああ!」
「うっさいアル!」
ホワイトデーに続く?
Fin.