感傷的甘味料(3)

2月14日。
朝風呂に入ったなまえは、化粧をし髪をセットして鞄を持ち外出した。

「新八くんと神楽ちゃん、お登勢さんたまさんキャサリンさん…土方さんと沖田さんに近藤さんに山崎さん」
名前をあげ連ねて歩く。
今日はバレンタインデー。お世話になった人達になまえはチョコを渡すことにした。
材料を買い帰宅し、手早く作る。

「…」
(銀さんの分は、どうしよう)

ダメ出しされたため自信をなくし不安になってしまった。でも、あれだけ悪口言われて言い返して…きっと私は嫌われてしまっただろう。

「私からなんて、いらない…かな」

でも。

「銀さん好きなんだよなぁ…」

告白された時嬉しかった。ドッキリかと思ってカメラ探してしまったけど。

「よし!心込めて作るかっ!」

そして話も聞かず帰ったことを謝ろう。そう決め、なまえは丁寧にチョコとクリームを混ぜ合わせた。




「もしもしー」
「あ、みょうじさん」
「こんにちは山崎さん!皆さんにバレンタインチョコ持ってきましたけど…なんか、忙しそうですね」
「あぁ…事件が起きてね。どうやらバレンタインチョコを狙ってのひったくりが多発してるんだ」
「ひったくり…」
「これからみょうじさん、他の人にも配るんだろう?気をつけてね」
「はい、ありがとうございます!山崎さん達もお気をつけて!じゃあ失礼します」
「じゃあね〜」
「はーい!」

手を振り屯所から出ていく。
周りを警戒しながら歩くが、流石に警察の目の前でひったくり犯は出てくることはなく、無事なまえはチョコを届け終えた。

「銀さんいない…」

銀時以外。
万事屋には新八と神楽と定春しか居らず、一つ余ってしまった。ちなみに定春にはいつもより高いドッグフードをあげた。


「ここで待ってますか?」
「うーん…ちょ、定春食べちゃだめだよ?」
「クゥ〜」

袋の中のチョコの匂いを嗅いで涎を床に垂らしていた定春はがっかりした様子で首を引っ込めた。

「ちょっと周り探してみる。いなかったら戻ってここで待っててもいいかな?」
「勿論です」
「暇だからついて行くアル!」
「ワン!」
「ありがとう、じゃあ行ってきます」
「いってらっしゃいなまえさん、神楽ちゃん」

万事屋の玄関まで見送りしてくれた新八くんにお礼を言うと、神楽ちゃんと二人で外に出た。

「銀さんどこにいるんだろうね?」
「どうせパチンコ屋かコンビニで立ち読みネ」
「じゃあコンビニから回ろうか」
「オウよ!」

と会話していると後ろから衝撃が。引きずられるようにして転ぶ。その時二人乗りバイクの後部座席の人物が、なまえの持っていた銀時宛てのチョコが入った紙袋を掴んでいたのが見えた。

「いってぇ!」
「なまえ!大丈夫アルか?」
「大丈夫、それよりアイツ等にチョコひったくられた!」
「えぇ!?」
「定春!追いかけれる?」
「ワン!」
「一緒に行くヨ!」
「お願い!」

こうしてチョコひったくり犯との壮絶なカーチェイスが幕を開けた。


携帯で警察に連絡する。

「もしもし!警察ですか!今チョコひったくりされて犯人追跡中です!応援お願いします!!…みょうじなまえです、あぁもうっ!山崎さんか沖田さんそこにいませんか!」

押し問答の末やっと土方さんが電話に出た。

「なまえか?」
「あぁ土方さん!はいなまえです。やっと話の分かる人が出た!」
「…それで犯人は今どこに」
「犯人はバイクで逃走中。二人組でバイクは現在歌舞伎町を西に向かって走っています!倉庫街がアジトかもしれません!私は神楽ちゃんと定春に乗って追ってます見つけてください!」

そう言うと携帯を切る。

「あの野郎共ボコボコにしてやる…!」

路地に身を潜め、バイクの二人組がアジトに入るのを確認する。すると、携帯に非通知から着信。

「もしもし」
「あ、なまえさん!?ニュースで二人がチョコひったくりされたって」
「マジアルよ」
「え゛えええー!」
「あの野郎共銀さん宛てのチョコひったくりやがって…どんな死に方させてやろうか」
「なまえがブチギレてるネ、これは私にはどうにも…」
「いやいや!?どうにかして!」
「アイツ等をどうにかしてやろうかぁぁぁぁあ!」
「止められない止まらない〜ってやつヨ」

某人型決戦兵器のように暴れ出しそうななまえ。

「え、えっと…なまえさん。銀さんと喧嘩したって姉上から聞いてたんですけど、チョコあげるんですか?」

ピタリと動きが止まる。

「…あげる。仲直りしたくて、美味しくないかもしれないけど一生懸命作ったんだ。…もしかしたら受け取ってくれないという可能性があるけど」
「手作りですか!」
「(全員分)そうだよ」

と話している間にも銀さん宛てのチョコを食べられたらどうしよう、と気が気でないなまえ。

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