劇的に彩って(1)

先週。高校の同級生で親友から仕事の昼休憩中に電話がかかってきた。

【元気そうだな名無し、今大丈夫か?】
【久しぶりかすが!今休憩中だから大丈夫!どうしたの?】
【今月成人式だろう。…その、名無しと会いたくて】
【きゃーっかすが可愛い!そして嬉しい!……でも着物無いし金無いし】
【風来坊の、…まつさんが実家で呉服屋をやっている話は聞いてるか?】
【え?なにそれ知らない】
【…他にはご内密にと言っていたが、私達に格安でセットレンタルをしてくれるらしくて。】
【えっ】
【髪も化粧も小物類もだ。ぜひ名無しさんも!とまつさんが】
【……】

久々に誘われた。
会えるのは嬉しい。
でも、躊躇が生まれる。

【なまえ、もう高校でお前をいじめてた馬鹿で救いようのない馬鹿共はいない。結局お前は罵倒に負けず登校し続けたじゃないか】
【…うん】
【もし会ったら私が懲らしめてやるから】
【…ありがとね】
【じゃあ詳しいことは後でメールする】
【はーい、じゃあね!】

プツンと、明るく電話を切ったが一気に憂鬱だ。
途中話が聞こえたようで、リーダーが私に14日休んでいいと言った。泣ける。

「みょうじ君、ちょうどよかった」

仕事が定時に終わり、帰ろうとするとリーダーに呼び止められ、給料日より早く給料を渡される。

「げ、現金…、封筒…」
「少し色付けたから、着物代にでも使って。あとしばらく休んでいい、バタバタするだろう?君正月もまだ休んでないからね」
「えっ!リストラ!?」
「…君も僕相手に冗談を言えるようになるくらいここにいるのだから、もう少し肩の力を抜きたまえ」

いつも真面目に仕事してくれるお礼の気持ちらしい。その気持ちをありがたく震える手で受け取り、私は自宅に帰って泣いた。

「タイミングェ…」

お風呂から上がるとかすがからメールが着ていた。


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件名:セットレンタルの話だが
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明後日4日に私と市が迎えに行く。

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「これだけ?」

前金とかレンタル料金どうすんの?
とりあえず明日から休み貰えたから。となまえは返信し、明日の予定を立てながら布団で眠りに就いた。
彼女が寝た後ケータイが何度も光っていたが、なまえは4日まで気づかなかった。

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