流るるままに(1)
「おはようございます輝宗様、梵天丸様」

ちゅんちゅんと雀の鳴き声をバックコーラスに、朝餉の用意ができたことを知らせるためいつもより早起きし着替えていた小十郎は障子の外から声を掛けた。

「…失礼します」

返事が無いため一言告げてから静かに開けるとまだ眠っている二人。
(…二人?)
「梵天丸様?」

本当はあってはいけないことだが、昨夜四人固まって寝ていたはず。
名を呼ぶが幼い主からの返事が無い。

「おぉ…小十郎、早いな」
「おはようございます輝宗様。梵天丸様がいらっしゃらないのですがどちらに?」

一人焦っていると輝宗様が起きたので見てないか問いかける。
付近を警戒させているが昨日のようなことがあっては大変だ。と、早く梵天丸を探そうとしている小十郎に輝宗様は笑いかけ指を差した。

「ここだ」

指した方向は里美。
そっと近づき布団をめくると中には里美とその腹に抱きつき寝ている幼い主。
安らかに寝息をたてている二人に穏やかな気持ちになる。殿と、また眠くなってしまうまで見つめていたが、朝餉を食べないと政務や予定に支障がでてしまうので名残惜しいが起こす。

「起きてください梵天丸様、里美殿」

肩を揺さぶられて唸りながらもぞもぞ動くとようやく起きた二人。

「「おはよう…」」
「はい、おはようございます。今朝餉を持って参りますので座ってお待ちください」

そして運ばれてきたご飯を食べる。
昨日は気づかなかったが、客人が食べないと他の人が食べ始められないらしい。
里美がいただきますと挨拶した後ぼーっとしていると注意された。

「礼儀作法が分からず……申し訳ございません」
「些細なことだ。里美殿、疲れが取れてないのか?」
「おそらく……あと…」
「あと?」
「実は私、人見知りで」
(慣れない環境に唐突に放り込まれ、走り回り刺され泣いて…)

いじめられて人と接することが苦痛に思うようになってしまった今。
彼等が優しい人だと分かっていてもどこか警戒してしまう。
嫌だなぁ、と心の中で言うとまた食事を再開した。
ちなみに名前は身分証見せました。

「そうか……。里美殿」
「はい?」
「こちらの都合で申し訳ないのだが、これから顔合わせがある」
「え…?」
「伊達家臣団に紹介するんだ」
「……え?誰を?」
「「里美殿を」」
「どこで?」
「大広間でです」
「wait wait wait!御冗談でしょう!?待ってください!」
(いきなりハードル上がった!!)
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