望雪の日(2)
「これは?」
「…右でございますね」
「右、みぎ…」
「はい、完成ですね」
「よし!次は…」

何してるかって?縫い物だよ。
…まだ内緒ね。

「これは…」
「あ!小十郎さん!できましたか?」
「梵天丸様が集中していたせいもあってか早めに勉学を終わらせた。あれは、黒脛巾組に輝宗様が頼んでいた」
「おし!」

あれ、とは梵天丸君のプレゼントの内容である。そことなく聞いてみても教えてくれないので内容確認を頼んだが…黒脛巾組さんお疲れさまです。
ちなみにサンタの正体は二人にはバラしている。

「喜んでくれるかな…」
「どうだろうな。喜んでくださるといいが」
「とりあえず今は全力あるのみ!」
「あぁ」
そう言うと里美と小十郎は作業に戻っていった。
そして夜が来る。

「さんた…来るかな」
「う〜ん雪すごいもんね」

夕餉を食べ終えた里美と梵天丸は外で雪だるまを作ったり、かまくらを作って中に入るなどして庭で遊んでいたが、ちらほら降っていた雪が吹雪へと変わり部屋に戻っていた。

「おれいい子じゃないから…さんた来ないのかな?」
「それはない」

だってサンタは親だもん。
私のとこには幼い頃以外来なかったけど。
「サンタさんはいろんなとこの子ども達にプレゼントを届けにいってるから時間かかるんだよ」
「そうか…」
「気長に待とう?」
「……うん」
「ということで」
「?」
「はいプレゼント」
「えっ!?」

そう言うと里美は鞄の中から何かを引っ張り出してきた。

「あんまり上手く作れなかったけど…もらってくれる?」

手渡されたのは、

「おれ…?」
「うん。中にお守り入れてあるんだ」
「へ〜」

手縫いの梵天丸人形を持ち首を傾げる梵天丸。

「それと、こっち来て」
「?」

上着を羽織り部屋から出ると手を引かれるがままどこかに連れられる。
里美はいくつか廊下の角を曲がり、家屋の裏側へと向かうと手を離した。

「さとみ?」
「ここからは真っ直ぐ歩いて次の角を左に曲がって。小十郎さんが待ってるから」
「え、」
「梵天丸様、こちらです」
「小十郎!」

声のする方を見ると、頭に少し雪を積もらせた小十郎が手招いている。

「しゃがめ小十郎!雪落とすから」
「はい。ありがとうございます」

ぱたぱたと小さい手を動かして雪を落とす。

「向こうには何があるんだ?」
「この小十郎、拙いながらも輝宗様と史絵美、女中達の手を借りて梵天丸様に"くりすますぷれぜんと"を作りました。どうか、お受け取り頂きたい」
「えっ!?…いいのか!」
「はい」
「勿論!」
「梵天?まだか〜」
「さあどうぞ梵天丸様」
「おう!」

元気よく返事すると梵天丸は輝宗様に向かって走っていった。

「今のうちに紙の内容確認を」
「あぁ」
「…失礼します」
「うわっ!」
「黒脛巾組か」
「はっ、報告します」

二人が報告を受けているなか。

「梵天、くりすますつりぃは気に入ったか?」
「はい父上!」

空洞の氷の固まりに灯をともし、短い間飾り付けられた木を囲む光の中。
親子はじっと大勢が協力してくれたプレゼントを眺めていた。

「それはよかった…そうだ梵天」
「?」
「父にだけ、さんたに頼んだものを教えてくれないか?」
「……実は」
「実は?」

梵天丸は父親にそっと耳打ちした。

「何も書いてない!?」
「はい」
「え゛ぇぇっ!そっか…」
「はい」
「忍さんありがとうございました」

お辞儀すると忍は小十郎と二言三言話し消えた。

「どうしよう…」
「…」

二人して顎に手を当て考えていると。

「どうしたんだ?」
「「!?」」
「…」

振り向くと梵天丸となぜだか無言の輝宗様。「いえ何も。…何故輝宗様は無言なのですか?」
「……ぐすっ」
「え?」

(泣いてない?)

「梵天が可愛すぎて、俺は…俺はどうすればいいんだ!」
「ええええ!?」
「梵天丸様が可愛らしいのは元々です」
「小十郎さんも何言ってんだよ!合ってるけど!!…梵天丸君?何て言ったの?」

会話できそうにないほどずびずび鼻をすする輝宗様を置いといて梵天丸君に話しかける里美。

「皆がおれのために寒いなか頑張ってくれて、こんなにすごいぷれぜんとはないし、さんたも寒い中来るのは大変だからもう満足なんだって…」
「「「何ていい子なんだっ!!」」」
「それにさとみからもらったぷれぜんともあるし……大事にするからな!」
「ありがとう!」

その後一通り悶えて騒ぎ、四人で手作りツリーを眺めて部屋に帰りましたとさ。




→あとがき
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