種よ、人の望みよ喜びよ(1)
突き抜けるほど高い空に雲は一つもなく、日によって寒暖の差が激しかったのが落ち着き、やっと春が来た。
「やるぞー!宴だー!」
「「「うおおおっ!」」」
絶好の花見日和。
春は人を浮かれがちにする。
雪に閉ざされていた奥州の遅い春は、民草ならびその上に立つ国主までもを浮かれさせた。
「父上?」
「どうした?梵天丸」
「今日は"ぶれーこー"なの?」
側近達に宴の宣言をいきなりしていると、傍らにいた梵天丸が疑問を口にする。
「難しい言葉を知っているな梵天!…じゃあ今日は無礼講にしよう!冬の間戦も飢饉もなかったからな」
その言葉に側近達が内心【御子息GJ!】と思っている中。
「…さとみも誘っていい?」
「勿論だ!!」
「やった!」
梵天丸は、いえー!と言って飛び跳ねた。
それを微笑ましく見守る周囲。
こんな行動をするといつもは叱る小十郎は、近隣の農村部に畑仕事の視察と、梵天丸に食べさせるための作物の種や苗の仕入れに自ら赴いている。
今日は自由を謳歌だ!とはしゃぐ二人。実は前々から計画していたらしい。
…浮かれがちである。
そんなこんなで伊達軍は花見をすることになったのだった。
- 39 -*前次#トップページへ