あれは……? けたたましい音。キノコたちの動く音が響いていたが、ソーヴァが駆けつけてみると結構な数が集まっていた。 追いかけ合いをしているようにも見える。その数、3、4、いやもっといるか。 珍奇な場面に白いものが光る。それは僅かに差し込んでくる光が金属に反射しているためだ。そう、剣。 少女がいる。黄色い髪の見目麗しい女だ。ソーヴァより少し年下に見えるが、今必死にキノコの大群と戦っている。 なぜこんなところに? 思考するより先にソーヴァは駆け出していた。間抜けなことに少女は躓いてしまったのだ。 誰かは知らないがこのままキノコにやられてしまっては目覚めが悪い。 ソーヴァの槍の先は獣の爪のように鋭く3つに分かれている。魔力を込めると暗い光が鋒に灯った。 足場のない足場を突き進み、ある程度距離を詰めたところで槍を前方に構える。刹那、ソーヴァの全身が暗い色の光を放った。あっと言う間に光は消え去るが、槍を伝って体外に乗り移ると、三叉の牙に眩い輝きを帯びて収束していく。 「トライイーヴィル!」 そう叫ぶと、巨大な銃を発射したように振動でソーヴァの身体が後退った。3つに分かれた槍の先から闇の波動が解き放たれたのだ。落雷に似た轟音。3つの波動は貪食の竜の如く大きな口を開いたまま宙を舞うと、揃って天を下るように加速してキノコたちへ向かっていった。 滑走するように迫りくる竜に対し、かれらに成すすべはない。少女の眼前に迫る3体のキノコは、竜たちの眼光に射抜かれる間すらも与えられず、身体を撃ち抜かれて一瞬で動きを止めた。闇の波動は対象を捉え、物質の内部を悉く破壊し尽くしてしまう。それはまるで時が止まったかのようで、キノコたちは表情を変えぬまま、弾かれるように身体を引きつらせてその場に倒れ込んだ。 「貪り尽くされる側は闇に喰われたことにすら気づかないものさ」 やがて白い泡となり、キノコたちは消えていった。