芽吹きは遠く
(外つ国との文化の違いは興味を惹かれるものがあるけれど、校門でたむろするのはいかがなものか?)
きっと別学級の御姉様方目当てなのだろう。餌に群がる小鳥の様子を思い出しながら自転車に跨る。紺色の袴から健康的な足がちらりと見えるのを憚らず、思い切り漕ぎだす。彼女は辺りがざわついたのに気づかずにその場から去っていった。
外つ国で言う"かれんだぁ"に赤丸をつけ、楽しみにしていた今日は第三金曜日。
待ちに待った祖母とのお茶会だ。
忙しい祖母に会える時間は短いが、美味しい茶菓子を手土産に学校であった出来事を話すのが習慣と化している。
何度か近道を行けば、潮風が由梨菜の黒髪を結うリボンを揺らす。毎度甘い匂いを漂わす街道に口の端が上がるのが分かった。
(今回はどんなお茶請けが良いだろう?)
自転車から降り、着物の崩れを軽く直して歩き出した由梨菜を見る目は多い。
今頃の年代の女子たちは恋に恋するお年頃。だが、彼女の興味は恋よりもお菓子なのだった。