おまけ
「まさかのHLPDの警部補とあろうものが」
「コイツは成人済みだ」
「…」
「その疑いの眼差しを止めろ」
しょっ引くぞ、と威嚇するように此方を見る警部補にスティーブンは内心溜息を吐いた。
夜道に女性一人、親切心で声を掛けたらこんなことになろうとは。
(でも、)
HLにおいても保たれている純真さ。初々しい態度。
恋人の言うことを素直に聞き、目も耳も塞ぐ信頼の姿勢が、彼にはとても眩しく見えた。
「…もっと早く会っていればなぁ」
「あ”ぁ?」
「彼女。かわいいね、僕もそんなパートナーが欲しい位だ」
「他を当たるんだな」
テメェにはやらねぇ。
火のついていない煙草のフィルターを吐き捨て、彼女の髪に口づけた警部補に肩をすくめる。
(大事にされてるねぇ)
仕方ない。僕は職場のコーヒーと仲良くしよう。
独り身の世知辛さを嘆きながら立ち去る僕を、鬼の形相の警部補が追い抜くのはその数分後だった。