プロローグ
「それで?今日も良いように使われてきたの?」「仰る通りで…」
木製のテーブルと一体化しながら私は返事をした。
「大変ね、社畜は」
「あああーーー!どうしてこうなった!つーか今日だって休み予め申請してたのに!」
「そうだったの?」
「うん。でも風邪で休んだ人が出たって電話来てさ…皆に断られて私が最後の砦とか言うしさ……」
「そんなもん適当に断ればいいのよ!全く…あんたのその断れない精神、何とかすべきね」
「真面目なところも貴女の魅力の一つだけど、適度にリフレッシュしないと過労死するわよ」
「怖っ!」
ジョッキを傾けながら、的を得た指摘をする友人と会うのは何年振りか。
数少ない友人である彼女等の笑い声に、張りつめていた気持ちと身体の力が抜けていくのが分かる。
「なら気晴らしに遊ぼうかなぁ」
「あら、明日は非番?」
「なら飲むわよー!」
「ぎゃああああ!」
「どーせ家に引きこもってゲームでしょ!今日は私達に付き合いなさい!」
3時間後。
「じゃあまたねっ!」
「おやすみなさい」
「うん。おやすみ。またね〜」
べろべろに酔った友人をタクシーに乗せ見送りをした後、私も帰路に就いた。
「飲み比べにならなくてよかった…」
(前回は彼女が男に絡まれたからな。三人で潰したけど)
今日は思い出話に花が咲いたし、愚痴も聞いてもらえた。
今度また会う約束もできて、ほくほくとしながら自宅の鍵を開け帰宅する。
「寒っ…」
殺風景な部屋に何だか寒気を感じたが、気にせずスーツを脱ぎパジャマに着替え、枕元にあったゲーム機を手に取った。時刻は既に明日を連れてきている。
「ラスボスクリアしてるから、もうやり込み要素だけなんだよな」
どれだけ装備を揃えられるか、難易度をクリアできるか。
かといって他にやりたいことがあるわけでもない。
「まぁ好きだからいいけど」
私は眠気に襲われながらも、ゲーム機の電源を入れた。