Can you keep a secret??
「短い間だったけど、ありがとうございました」
...私ってダメな奴だ。
告白されて、いつも「好きかも」で付き合う。けれど、きっと最初からそんなに好きなわけではなくて、結局最後まで大好きになれないから、自分で終わりを告げる。
たった今、元彼に成り下がったその人が屋上の扉に手を掛けると、陽気な挨拶が聞こえて来た。
『どうしたん?自分めっちゃ暗いやん。んは、#name1#にフラれたん?あっはっは!』
『..............。』
『...え』
忠義を睨み付けて言葉を交わさずに、凄い勢いで屋上の扉が閉められた。
忠義が若干困惑した顔で私を見たから、引き攣った笑いのまま目を逸らした。
『...タイミング、悪かった?』
「超絶悪かった」
『...やって...まさかやんか』
「...ま、いいけど」
今は授業中だ。私がサボるときに結構な確率で、クラスが違う忠義もサボっているから、そんなところで「双子だな」なんて意味もなく思ってみる。
『なんで別れたん?』
屋上の端まで移動して、腰を下ろした忠義が聞いた。
「...好きになれなかった」
『それ言われたらめっちゃへこむなぁ』
「言ってないし」
『そらそやな』
「忠義は?」
『えー?』
「別れたんじゃないの?あのギャルみたいな子と」
『別れたー』
あまりにも笑顔で言うからつい笑ってしまった。私達って、何やってるんだろう。
正直モテる。...けど、なんかダメだ。
『なーんか、#name1#と比べてまうねんなぁ。居心地の良さで言ったら、誰も#name1#に勝たれへんやんか』
...そっか。そうなんだ。
今までは気付くことはなかったけれど、言われてみれば確かにそうなんだ。忠義のくせに、よく気付いたな。
『俺らってな、仲良すぎんねんて。ヤスが言うてた』
そうかな。そんな言われ方をしたら、自分が普通じゃないみたいな気がして来てしまう。
確かに、雑誌で見たイルミネーションの綺麗な場所に行く時は、真っ先に忠義に行こうと言ったし、友達とご飯を食べて美味しかったお店は、今度忠義を連れて来ようと思った。
『俺らってさぁ、二人で街歩いてたら、恋人に見えてるんかな?』
「...かもね。似てないしね」
『帰りさぁ、してみいひん?手ぇ繋いで、恋人ごっこ!』
「あは、いいよ」
幼い頃は、よく二人で手を繋いで歩いた。最近は手を繋ぐことなんてなかったから、何だか嬉しい。
笑いながら忠義を見たら、忠義が柔らかく笑いながら私の方を向いていた。
私の横に手を付いて、唇が触れた。
今、キス、した。
『...やっぱ今からな。恋人ごっこ』
「...普通さ、キスまで、する?」
『...我慢出来ひんかった』
「......なにそれ、」
『...ずっと、したかったんやもん。#name1#と』
本当になにそれ。これじゃあまるで告白じゃない。
忠義と目を合わせられずにいると、頭の後ろを支えてゆっくりとコンクリートに押し倒された。
『...もっかい、しちゃお、』
唇が触れて、今度は舌が割り込んで来た。
拒否することなんて出来ない。だって、嫌なわけないじゃない。心の中で嬉しいと思ってしまった感情を払い除けるみたいに、忠義の背中に腕を回した。
唇が離れると、忠義が私を見て微笑んだ。私は、うまく笑えていないと思う。
忠義が私を抱き締めたまま転がって、忠義の上に乗せられた。
顔が近くて恥ずかしいけれど、背中にある忠義の手が、離れることを許さない。
『...なぁ、#name1#』
「...なに、」
『 ...“ごっこ”やないと、あかん?』
「...え?」
『やっぱりな、恋人ごっこ、嫌や』
忠義が起き上がって、そのまま膝の上に乗せられて向かい合っている。忠義の大きな手が頭の後ろに置かれ、引き寄せられてまた唇が触れた。
『...#name1#幸せにすんの、...俺じゃあかんのかなぁ...』
甘えたような顔をして、凄い殺し文句だ。忠義の目がじっと私の目だけを見つめている。
「...私が、幸せにする、」
無邪気な顔で笑った忠義が、ぎゅっと力を込めて私を抱き締めた。
『...ずっと、好きやった』
End.
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