euphoria


Don’t tell anyone.


『章大くん、これ作ったんだけど...貰ってくれる?』
『えー、めっちゃうまそー!ええの?ありがとぉ』

廊下でニコニコ笑いながら章大が何か受け取っている。良く見る光景だけれど、ちょっと胸が痛い。
あんなふうに誰にでも好かれるところは、やっぱり私とは似ていない。

『#name1#ー!帰ろー!』
「待ってー!今まだ日誌書いてんの!」
『俺がやっとくからええよ?』
「ダメだよ丸ちゃん!一緒にやろ?」

私と丸ちゃんが揉めてるのを見て、章大が教室に入って来た。二つの机をくっつけて日誌を書いていた私達の前の席に後ろ向きに章大が座った。

『ごめんなぁ、ヤス』
『別にー』

ドキッとした。なんかトゲがある言い方だ。丸ちゃんは然程気にしている様子はないけれど、私にはわかる。

『双子って羨ましいなぁ。高校生になってもこんだけ仲ええって珍しいんちゃう?』
「そう、かな?私達はこれが普通だよね、」
『めっちゃ普通やで。喧嘩はするけど』
『お互い彼氏彼女出来てもそんな感じなん?』
『そうやで。彼女より、大事』
『すごい絆やねんなぁー』

章大が丸ちゃんに笑顔を向けつつも、淡々と話しているから、何も言わないことにした。とりあえず早く帰りたい。

「終わった!」
『あ、じゃあ俺が置いて来るから、もうええよ』
「ありがとう!ごめんね」
『また明日!』

手を振って教室を出る丸ちゃんに手を振り返しながら章大を見たら、章大も笑顔で手を振っていた。
すぐに歩き出した章大について教室を出る。校門を出たところで章大が振り返った。

『あいつ、#name1#のこと好きやで』
「え?丸ちゃん?そんなわけないよ」
『お前にわからんくても俺にはわかんねん』
「...そう、かなぁ、」
『そうなの!』

拗ねたみたいな言い方をするからふふっと笑ったら『何がおかしいねん!』とムキになっている。こういうとこが、物凄く可愛いと思ってしまう。

「...コンビニ寄る?」
『...アイス』
「買ってこ!今日は待っててくれたから奢ってあげる!」
『...まじでぇ?はーげんだっつ!』
「...え、」

機嫌、直ったみたい。ヤキモチは嫌いじゃない。なんか嬉しいし。
扱いはちょっと難しい。けど、どうやったら機嫌が直るかはよく知っている。

家に帰ってすぐに、ダイニングテーブルにさっき貰ったお菓子を置いた章大が、手を合わせて『ごめんなさい』と言った。
いつも、受け取ったものはお父さんかお母さんが喜んで食べている。甘い物は苦手だと言って、章大の口に入ることはない。手にはアイスが入った袋を下げているのに。

部屋に入り着替えていると、章大が入って来た。下着だった私を見て、章大が目を丸くした。

『...何このブラー。見たことなーい。めっちゃえろーい』
「...そ、そう?日曜日に、買った、」
『...ふぅーん』

今度は背中側に回ってまじまじと見ているからさすがに恥ずかしい。

『...コレ、俺が好きそうやなぁ、とか思て選んだんや?』

驚いて振り向くと章大が微笑む。
私、顔赤いかも。
突然手を掴まれて、ぶつかるようにキスをされ後ろの壁に背を預けた。腰に手が回って愛撫するように撫でる。

「...アイス、溶けちゃう、」
『#name1#の方がよくなった』

すぐ横のベッドに押し付けられ上からまた唇が重なった。髪を撫でられ絡められる舌に応えると、きつく抱き締められた。

『めっちゃ可愛い。似合うてるで』
「...ありがと、」
『...せっかくえろいから、着けたままシよ』

首筋に軽く歯を立てられた後、胸元を吸い上げ痕を残すと口角を上げた章大が私を見た。すぐに笑みを消した章大が胸に手を這わせながら、じっと見つめるからドキリとする。

『俺らやっぱり双子やな。ほんっま、モテるもんなぁ』

モテないし。モテてるのは章大じゃない。
...ていうか、似ているはずない。本当は、血は繋がっていないんだから。

『一昨日、告られてたくせに黙ってたから、お仕置き』

またニッコリ笑った章大が耳に舌を這わせながら言った。首筋を指でいやらしくなぞりながら舌を這わせていた章大の顔がぱっと部屋のドアに向くと、玄関のドアが開く音がした。

『章大ー、#name1#ー、居るのー?』
『居るー!今#name1#と真剣にゲームしてんねん!邪魔せんといて!』
『はいはい』

私を見ながら面白がっているみたいにお母さんと会話した章大が、私の髪を自分の指に巻き付けながら微笑んだ。

『...残念やったな。...とか言う思た?』
「...え、」
『わかってるやんな、声出したらあかんゲームやねんで』

口の端を上げた章大が私の頬を撫でてから、息も出来ない程のキスを仕掛けた。
こうして罪悪感を抱えつつも翻弄され、章大の熱に、日々飲み込まれて行く。


End.

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