Green
『え!せぇへんの?』
驚いたような表情で目を丸くして私を見ている忠義を怪訝な顔で見遣る。本当に不思議そうな顔で私を見ているからタチが悪い。
「...なんでするの」
『家来たい言うからそういう事かと思うやんかぁ』
寄ってけば?お土産買って来てん。
...そう言われたから忠義の家に来た。はずだった。私から行きたいなんて言ったわけではないし、なんなら忠義に言われるまで家に寄るつもりもなかったのに。
...あれ?お土産?お土産って言ったよね?けれど、今の忠義を見る限り、目的は全然別のところにあったみたいだ。
「...違うよ」
『なぁ、シようやぁ』
間髪入れずにストレートな誘い文句。でもムードの欠片もないし拗ねたみたいに言われたって、心の中はぐちゃぐちゃで動揺するばかり。
「...嫌」
『なんでぇ?ええやんお願いー♡』
「..............。」
イエスという答えしか想像していなかったみたいな言い方。駄々を捏ねるみたいに、でも上目遣いで舌足らずで、テレビで見るどの忠義よりもあざとい。
『ほら、とりあえずさ、ちゅーしてみよ、ちゅー♡んふ♡』
掴まれた腕が熱い。こんな時だけそんなに色気のある顔をするなんて狡い。近付けられた顔から離れることなんて出来ないまま、あと少しで唇が触れる。
『...大丈夫。ちゃんと好きやで』
End.
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