5年越しの想い
ヤスの顔を見たら、私も泣いてしまいそうだった。 ヤスの腕に力がこもって苦しいくらいに抱き締められる。苦しくても、幸せ。
『...5年やで...長かった』
「...そんなの、私だって同じだよ...」
『あほやな、俺ら』
「でも、今幸せだからいい」
少し体を離したヤスが私の顔を見て優しく笑うから、何だか妙に照れくさくなって視線を外した。
ヤスの手が私の頭の後ろを支えたから再びヤスに視線を合わせる。
『今度は逃がさへんで』
唇が重なった。
今度は私がヤスの首に腕を回した。
抱き締められながらしたキスの合間に、吐息で囁かれた“好き”が嬉しくて、幸せでたまらなくて涙が零れた。
唇が離れ抱き直されると、ヤスが私の肩越しに丸ちゃんのアドレスが書かれた紙を見つけた。拗ねたように唇を尖らせて、私の横から手を伸ばす。
『これ、いらんのちゃう?』
ヤスがテーブルにバンっと音を立てて裏返しに紙を置いた。
「...ヤキモチ?」
『当たり前や!お前隙だらけなんやから気を付けなあかんぞ!』
「どこが隙だらけなのよ!」
『さっき丸に手ぇ握られてたやんけ!』
「?...待って、裏...」
紙の裏を見ると、決して綺麗とは言い難い字で、愛情たっぷりに書かれていた。
“お前たちは15分後、ここでチューしてる!だって両想いだもーん♡”
丸ちゃんにありがとうとメッセージを送ったら、すぐに返信が来た。
“ちなみに、電話でヤスが言ってた
好きやで、は#name1#ちゃんのことやで!”
祝福の言葉と共に書かれていた真相を知り思わず笑みが溢れた。
『...丸はええ奴やけどあかん!』
メールの内容を知らないヤスがぷりぷり怒っているけれど、昔と変わらないこんな子供っぽいとこも好き。
『もー!早く家帰ろ!』
「え、なんで?」
『店ん中とか落ち着いて出来へんやん!』
「え、な、何を!」
『...あー...ちゃうやん、そういうことやなくて、』
「...そういうことって?」
『セックスとかやなくて!』
「ヤス!声でかい!」
『...............章大』
「........章大、」
『...んふふ』
「...気持ち悪い!」
『なんでやねん!』
ずっと、こんな感じがいい。
付き合っても、5年前から変わらない私たちのままがいい。
そこに少しの甘さをプラスするだけ。
End.
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