「Are You Ready?」


イェェェ!

ジャァァァァンッ!!!


会場中に大音量のエレキギター音が鳴り響く。


「ぶっ放していくぜぇぇ!」


イェェェェ!!


ここはとあるライブ会場。

ウィンディランの6人は休日を利用し、某人気バンドグループのライブ会場に足を運んでいた。


「う…うるせぇ…」

「何つまんない事言ってんだよ!オラー、盛り上がってきたぁ!」

耳を塞いで会場を出ようとするナイジェルの背中をノリノリなジムが掴む。


「キャァ!ジョディ!こっち向いてぇ!」

「キャァァァ!ビッキーちゃん!こっち向いてぇ!」

それぞれ想い人にラブコールを送るビッキーにボビー。


「痛っ!サラ!足踏んでる!」

「はい?何?聞こえない」

「足!足を思いっきり…ピンヒールで!」

「はぁ?お腹空いた?アンタさっきクレープ食べたばっかりでしょ!」

「だから…痛い痛い痛い!」


顔の距離10センチで話しているのに、全く会話が成り立っていないリッキーとサラ。


曲が終盤に近づき、会場のボルテージが上がる。

熱気に包まれ、ボーカルの男が豪快にジャケットを脱ぎ捨てた。


「最後までついて来いよぉ!!」


ジャァァァァァンッ!!


最後にドラムがリズミカルに鳴り、ギターの音が最高潮になった瞬間、楽器は綺麗に音を止めた。












「あぁ、耳がイッテェ」

6人はライブの余韻に浸りながらステージ会場を出た。

ナイジェルだけはどうやら我慢出来ず、先に出てしまったようだが。


「何ヘタッてんだよ、ナイジェル!まぁ、俺も耳の感覚は麻痺してるけどな」

そんな疲れた様子の彼に、水の入ったペットボトルを持ったジムが背中をポンポンと叩いた。


「それにしても格好良かったよねぇ!あの迫力!ボーカルのジョディもテレビと同じで素敵だったし!リッキーはどうだった?」

「え?あぁ…楽しかったですよ。ちょっと何本か逝っちゃったかもしれませんが」

「…何が?」


ライブ会場の外はついさっきまで近くで盛り上がっていた大勢の観客でごった返していた。

周りにはたくさんのお土産グッズ店があり、若い男性や女性の集団が次々にうちわやキーホルダー、CDなどを買っていく。


「クソ暇人が多いな。ここもうるせーし…とっとと出ようぜ」

「休日のスケジュールに『睡眠』しか入ってない暇人に、他人の事言える資格はないっての!なぁ、サラ!」

ジムが隣を歩いていたサラに同意を求めようとしたが、先程まであった彼女の姿はいつの間にかなくなっていた。


「あれ?サラ?」

「………。」

彼女は壁に貼ってある一枚のポスターの前で黙って立っていた。

見ていたのは、とあるバンドグループのツアー決定の貼り紙。


「サーラ!何見てるんだ?」

「…え?」


余程夢中で見ていたのか、後ろからジムに肩を叩かれてキョトンとした顔で振り返る彼女。


「あ、このバンド!weather lifeじゃん!」

「本当ですね。サラはこういう系が好きなんですか?」


後ろから他メンバーも集まり始める。

サラが見ていたのは「weather life」と呼ばれるバンドグループのポスターだった。

真ん中でマイクを握って写っている男性の姿が印象的で、なんとも迫力のある構図になっている。


「でも残念だったなぁ。このバンドのチケットも取ろうとしたんだけど、やっぱり人気で取れなくてな。ま、今回は諦めろ」

ペットボトルの水を一口飲み、再びジムはサラの背中を叩く。

対する彼女は数回パチパチと瞬きをしていたが…


「フフッ、違うわよ。私、このボーカル知ってるの」

「そんなの俺だって知ってるよ!」

「そういう意味じゃなくて。お父さんの仕事繋がりで、昔からちょっと面識あるっていうか…」


「「……………。エエエエッ!?」」


ナイジェル以外の4人全員が、周りのやかましさに負けない程の大声を上げた。


ジム「ウッソ!?マジで!?喋った事あるのか!?」

ビッキー「え?ええ!?本当に!?向こうはサラの事知ってる!?」

ボビー「ぼ…僕にも今すぐ連絡先を教えたまえ!」

リッキー「凄い凄い!俺も会ってみたいです!」

ナイジェル「何をそんなにはしゃいでんだ?」


あまりの反応の多さに、サラも一歩身を引いた。

「そんな同時に喋られてもわかんないから…」

「凄いねぇ、サラ!そういえば昔はセレブだったね!」

「『今は貧乏』みたいな言い方しないで(怒)」


とりあえず一旦高まった熱がおさまった所で、ジムがひとつの提案をした。

「あ、そうだ!このバンド、今近くのコンサートでライブをやってんだよ!残念ながらチケットは取れなかったけど、知り合いがいるとなると話は別だよな!皆で会いに行かないか!?」

「マジでか!?行くに決まっているだろう!これを機に僕の親友になってもらう!」

「あ!俺、サインが欲しいです!行きましょう!」


人気バンドweather lifeに会えるかもしれない。

そう考えただけで胸が高鳴り、メンバーのテンションが上がっていく様子が目に見えてわかった。


「え。いや…やめた方が…」

「何言ってるの、サラ!お友達なんでしょ!ね、会いに行こう!」

「でも…」

「照れんなって!よし行くぞ!ナイジェル!車出せ!」

「まだ帰れねーのか(疲)」


子どもみたいに全力で駐車場まで走り出す若者組。

こうして6人はweather lifeがライブを行っているコンサート会場まで車を走らせる事となった。


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