……………

「申し訳ございません。こちら関係者以外は立ち入り禁止となっております」

「えー!いいじゃんいいじゃんいいじゃん!私、ボーカルの美空君の知り合いの娘の友達なのよ!十分関係者じゃない!」

「いえ、そんな遠い関係を説明されても困ります」


ナイジェルの運転で早速会場までやってきた6人。

しかし予想はしていたが、彼らは入り口の警備員に阻まれ、肝心の建物内には入れずにいた。

どうしても中に入りたいのか、大人数でひとりの警備員を取り囲み、まるでどこぞのおかしな集団だ。


「ビッキーちゃんの言う通りだ!僕はボーカルの美空君の知り合いの娘の友達の恋人だぞ!」

「困ります!ボーカルの美空さんの知り合いの娘の友達のストーカーなれど、通すわけには参りません!」

「君ぃ!今、何故さりげに訂正した!?なぜ今、そこを訂正した!?」

「ああ、もうお前諦めろ!」

そこで警備員相手に暴れ出そうとするボビーを取り押さえたのはジムだ。


「すいません。勝手な奴らで…
あ…俺、ボーカルの美空君の知り合いの娘の友達のストーカーのストッパーなんですが…入っちゃダメですか?」

リッキー「貴方の中では、人類皆自分の関係者なんですね」


場はめちゃくちゃだ。

ここまで怪しい人物と思われると、絶対中になんか入れてもらえない。

「君!僕はイケメンだから入っていいだろう!?よく考えれば、人類皆僕のファンという関係者じゃないか!」

「これ以上言いがかりをつけると警察に通報しますよ!」

「アンタのファンなんてこの世のどこに存在するのよ!」

「お前らやめろ、馬鹿!」

ますます暴走する仲間達に、他のメンバーも止める事が出来ない。

その光景をナイジェルだけが隣でボーッと見ていて…






「サラさん?」

「………!?」


聞き覚えのある声。


全員が思わず振り返ると、その人物がこちらを見ながら立っていた。


黒のメッシュの入ったライトグリーンの長髪にネクタイを緩めた制服姿。


間違いない。


weather lifeのボーカル…


「キャァァァ!美空君ーーーー!!」


気づいた途端に驚喜したビッキーが走り出した。


「…ッ?」

「うっわ!本物だ!」

「え!凄い!!」

下がりかけていたテンションが上昇し、警備員そっちのけでジムとボビー、そしてリッキーも「美空」と呼ばれるその人物の元へ走り出した。


「あ、握手してください!」

「本物よ!格好良いわぁ!」

「君!僕の親友になりたまえ!」


彼の周りで騒ぎ立てる4人。


「ちょ…アンタ達…」

慌ててそれをサラが止めようとした瞬間…





「邪魔なんだけど」


「「…………?」」


彼の口から出てきたなんとも冷たい言葉に、4人は綺麗に目が点になった。


「退いて」

ボビーとリッキーの肩を掴んで押し出し、その人物は短い階段を登ってサラの元へと足を進める。


「誰?」

「え。あ…私の仕事仲間…だけど…」

「へぇ、そうなんだ」


手をポケットに突っ込み、見下ろすような形でサラの仲間達の顔をじっと見る。


「美空さん、すみません。関係者以外は立ち入り禁止と言っているのですが、どうしても貴方に会いたいと聞かなくて…」

「………。」


話しかけてきた警備員へ目線を向けるが首は回さない。

数秒間無言が続いた後、彼はようやく口を開いた。



「なんで?」

「…え?」

「僕に話通してないよね?何許可なしに勝手に動いてんの?」

「あ…いや…ですから…」

「引っ込んでて」

「えっ…あ…すみません!失礼します!」


大きな壁であった警備員を、あっさりと追い出してしまったその青年。



「入っていーよ」

「「え…」」

「僕に会いたかったんじゃないの?」


眉を下げながら笑う顔。

返事も聞かず、彼は6人を置いてとっとと建物の中へ入ってしまった。


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