……………

「よくこんな遠い所まで来たね!ジェット機で何ヶ月かかったんだい?」

「2ヶ月半だしぃ!超長かった系ー」


サラの攻撃も何とか壁に穴をあける程度で食い止める事が出来たらしい。

ジムの突進といい彼女のパンチといい、壁さんは既に穴だらけだ。

「久しぶり兄妹水入らずで話しなよ」と5人は部屋を退出したものの、やはり気になってしまうのか別の部屋からコソコソ覗いている様子。


「ジェ…ジェット機で2ヶ月半!?やっぱ地球人じゃないんだよ!」

ジムが確信しているように言っているが、そこでふとリッキーが口を開いた。


「ねぇ、やっぱりお客さんなんですからコーヒーの1杯位出すのが礼儀なんじゃないんですか?」

そんな言葉にサラは低いトーンで返す。

「私は絶対に嫌よ。あんな色黒白髪」

「黒か白かハッキリしろよ。んー…俺は乳は見てぇが顔は見たくねぇからな」

「ナイジェル、ちょっとボコってやるからこっち来なさい」


その時ビッキーがジムの頭をポンと叩いた。

「痛!何しやがんだ」

「あんたリーダーでしょ?ボケッと突っ立ってないで、早く行ってきなよ!」

「こんな時だけリーダー扱い!?やだよ!俺、別にそこまで巨乳好きじゃないし」

「なんなの!男は結局そーいう基準で物事を考えてるわけ!最低!怒」


殴りかかろうとする彼女に、慌てて抗議するジム。


「あー!ち、違う!わかった、ここは平等にじゃんけんで決めよう!」


最初はグー、じゃんけん…





















「…どうぞ」

「アンタさぁ、そんなにボビエに近づきたい系なわけぇ〜?マジキショイんすけど!ストーカーっつーのよ、それマジで!」


じゃんけんに負けて彼女にコーヒーを出したのは案の定、提案をしてしまったリッキー君だった。

彼女を少しでも「お客さん」なんて思った自分が憎い。

今になって凄く後悔している。

彼は何故か謎のカフェ店員の格好をし、目を閉じたまま動かない。


「っていうか熱いコーヒぃ!?ボビエ、キャット舌だからアイスコーヒーしか有り得ない系なんだけどぉ〜!」

(その顔で「キャット」発言…全国のキャットに謝れ)

「仕方ないし〜!許してもらえる事を神級感謝しなさいよぉ〜!」


(神級感謝って何?全国の神に謝れ)



「ね、どうなってる?」

「リッキーの奴、ずっと目を瞑ってる。極力顔を見ないようにしてるんだろ」

「嫌ー!私のリッキーがぁ!」

じゃんけんに勝利した4人は、遠くから観察を続けている。

客観的に見ている分には、なんだかちょっと楽しそうだ。



(ホント腹立つな、この人。いやでも目を合わせちゃいけない…合わせたら、ああなってこうなって…)


しかし、人間とはおかしな生き物だ。

見てはいけないと思えば思う程、余計に見たくなってしまう生き物であって…



チラッ


ボビエ「…ん?」


ガランッ!

リッキーは思わず持っていた盆を床に落としてしまった。


(うわ!今、目が合った!有り得ない系!神級ヤバイ!目が腐ッ…)



彼が動揺している事も姿を見ればわかるようで、彼女もハッキリと不信感を覚えた。

「ちょっとアンタ〜!マジいい加減にしてくんない!?さっきから何でそんなにボビエばっかチラチラ見るわけぇ!?」


ボビエの問いかけに、顔を引きつらせて思わず日差しを遮るように手を前に出す。

「ちょぉ!?何でって訊いてんでしょ!」

「えっと……そのっ…」


(…っそんな…言えない!気持ち悪すぎて、つい見てしまうなんてっ!)


じゃんけんに勝った4人も、見逃すまいとリッキーを見つめている。

そしてボビーはニヤリと気持ち悪く笑っていて。

もう、言い訳がこれしか思い浮かばない!

頭がパニックになったリッキーは、何も考えずボビエの顔を真っ直ぐ見る。

もうまともな思考回路が働かなくて

笑顔を作り、照れ臭そうな素振りを見せて言った。


「す…すみません///貴方があまりにも美しいので、つい目で追ってしまうんです」


「「……………。」」


遠くから見ていた4人も目が点。

真正面から見ていたボビエも目が点。

顔を真っ赤にして鼻の穴を膨らませて笑っているのはボビーだけだ。










(……死のう)










笑顔のまま絶望を覚えた。


ボビエはその顔のまま一時黙り込み…


「萌えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!!!」


鼻息を荒くして豪快に立ち上がった。


「ふぇっ!?」

リッキーは自分で何を言ってるかもわからなくなり、もはや半泣き状態。

そんな彼に顔をグッと近づけ、厚い唇を尖らせて体をくねくねさせるボビエ。


「あ〜ん!そんな風にボビエを想ってくれてる系だったら、早く言ってくれれば良かったのにダーリン♪」

「ダ…ダーリン!?」


あまりの顔面の迫力に、彼は足を一歩後ろに下げた。

「ねぇ!ボビエのスリーサイズ聞きたい系?え?聞きたくてたまらない系!?マジでぇ!良いわよぉダーリン耳貸してぇ★」


ひとりで勝手に喋っている彼女は、おどおどしている彼の耳を強引に引っ張る。


「イダダダッ!」

「あのねぇ〜!ボビエのスリーサイズはぁ〜」


リッキーの耳に手を当ててヒソヒソ話をしようとするボビエ。


フゥッ〜!


「グアァッ!」


彼は悲鳴を上げて、その場に倒れ込んだ。



「何やっとんじゃ、アイツはぁッ!怒」

「落ち着け、ビッキー!」


怒り狂うビッキーを押さえ込むジム。

その横で残りのふたりはお互いに手を取り合い、ガタガタと震えていた。



「ボッ…ボビエさん。…俺…ちょっと…トイレ…」

「もぉ〜!ボビエさんなんて照れ臭いわ!ボビエタノールって呼んでよぉおおお↑↑↑」


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