15 〜第5章〜レジェンド



第5章
〜レジェンド〜


「良いですか?まずはこの全身タイツを着るのです」

「うがぁっ!?無理無理!それだけは絶対に出来ないッ!!」

ビックリしすぎて変な声が出てしまったビッキー。

そんな反応も仕方がない。

ボリーが懐から取り出したのは、ボビーが普段着用している物と全く同じ緑色の全身タイツなのだ。

さすがにこれには隣のサラもドン引きしている。


「これを着なければ祈りの効果は現れません!」

「祈る女性とか言うから巫女さんみたいな格好だと思ってたのに!なんでこんな全身タイツを着て祈らなきゃいけないのよ!」




『ウガァァァァァッ!!誰か、助けてくれぇぇぇっ!!!』



下の平野で水の王の姿をしたボビーが、手を縛り上げられてミサイルから逃げ回っている。


ボリー「クッ!時間がありません!皆さん、急いでください」

「「ああっ!もうどうにでもなれだわぁっ!!」」






……………





リッキー「水の種族の人達…攻撃の手を緩めませんね」

ジム「さすが一億年間戦い続けてきた強者だな。自分の王の命さえ勝利の為なら厭わないという事か…」

ナイジェル「ってかアイツら、入れ替わった王を救い出そうと襲って来てんだよな?王を撃ち殺そうとしてる時点で本来の目的を見失ってるだろ」


なんとも平和そうに、逃げ惑う水の王ボビーを目で追う男達。

足をプラプラさせて、リッキーに至ってはさらに手混ぜをしながらその光景を見ている。



「君達ぃぃっ!こんな事をして恥ずかしいとは思わないのか!(怒)帰ったら全員打ち首じゃぁぁぁっ!」

「「お前さっき全く同じ事やってただろーが!」」



ピカァァァッ…


突然灰色に濁っていた雲の隙間から、少しの光が差し込んでくる。


リッキーもジムも

ナイジェルもボビーも

そして戦っている水の戦士も風の戦士も


全員が空を見上げた。



女達の祈りが通じたのだ。


光は一直線に水の王の姿をしたボビーを照らし出す。


「………ッ…!」

ジム達の瞳に光が映り、反射してキラキラと輝いている。


ボビーの体が光で浄化されてゆく…!


眩しく輝いて


体や衣類が普段の緑色の全身タイツ姿に戻った。


「マジでか…」


空を見上げたナイジェルが思わずぽつりと呟く。


ボビーはそのまま空中にフワリと浮き上がり…






ファサァァァッ!!!



背中に大きく立派な翼が生えた!


「『光を放ち翼を広げた救世主現る』…まさか!」


リッキーがボビー…いや、翡翠に輝くエンジェルを指さす。



「ボビーが救世主だったんですよ!」


ファサァァァッ!

ボビーエンジェルは華麗に翼を羽ばたかせ、広い空を飛び回り始めた。


「お、皇子!」

「なんと…お美しいっ…!」


風の戦士、水の戦士の頭上を飛び回り

その気品ある優雅な姿に、全てが戦いをやめて同じ空を見上げた。

ボビーが飛んだ跡には銀色の美しい羽が飛び散り、

街が光に包まれて、倒れた者は起き上がり、壊れた建物が全て元に戻ってゆく…


まさに「救世主」だ。

戦いに汚染された星は、あっという間に元の美しい緑の惑星に戻った。


『皆の者…』

ゴッドエンジェルボビーは眩しい太陽を背景に、地上にいる全人類へ語りかけた。


『何故そこまで争う必要がある?

我々は元々ひとつの母なる神から生まれた命っ!

争い命を削った所で、そこに待つのは苦悩と悲しみだけだ!

目を覚ませ、迷える子羊達よ!

我が名の元にっ…!!』



ピカァァァッ!


ゴッドエンジェルキモスボビーの放つ光を浴びた者達の心が洗われ…

こうして一億年にも渡った長い戦争がようやく幕を閉じた。


- 262 -

*PREV  NEXT#


ページ: