……………

「…ごめんなしゃい」


頭にはたんこぶがふたつ。

それを乗せたまま、リッキーは着替え終えた女性に対し誠心誠意土下座をしていた。


「フフ。思春期は良いけど程々にね」

サラはリッキーに向かってにこりと微笑みかける。

若干背後に黒い影を漂わせながら。


「で、どうしたのよ?こんな時間に」

「サラだってわかってるでしょう?あのボビーの妹ですよ。本当、どこまでも付いて来るんです。しかもビッキーまでアイツに洗脳されちゃって」


サラに部屋の中へと案内され、リッキーは丸椅子にヘタリと座りながら理由を話し始めた。

「へぇ。モテる男も大変じゃないの」

「他人事みたいに言わないでくださいよ。俺は真剣に悩んでるんです」

「鼻の穴に割り箸でも突っ込んで、半ケツ状態で外を練り歩けば追ってこないんじゃないの?」

「そんな事すれば警察が追ってきます」


彼女の言葉に苦笑いし、テーブルに塞ぎ込むリッキー。

そんな絶望的な彼を見て、サラは外の様子を窺う為玄関へ向かった。

そっとドアを開けてみると…


「あ〜ん!アイラブチョリィ!どこ行っちゃったのぉ!」

「アンタがどっか隔離してんじゃないの?リッキーは皆のものなのよ!早く出しなさいよ!」

「何ですってぇ!マジムカツクんですけどー!」


馬鹿2匹がケンカを始めた所でサラはドアを閉め、ターゲットである彼の元へ戻った。


「良いわよ」

「え、何が?」

「今夜はここで匿ってやっても良いって事」

「本当ですか!?」

先程まで腰を曲げてうなだれていたリッキーは、まるで生気を取り戻したように強く立ち上がった。

この瞬間に目線の高さは逆転。


「あんなのに捕まったら、いくつ命があっても足りなそうだし。おまけに貴方ひ弱そうだからねぇ。今夜だけよ?」

「あ、ありがとうございます!……あ」


ホッと胸を撫で下ろし深く頭を下げた所で、ふとクスクス笑っている彼女の顔を見る。


「…………。」

「どうしたの?」

「あ……いや、その…」


なんとなく彼の顔が赤い。


「言っとくけど寝る場所は別々だからね。新しく布団敷いてあげるから、そこに寝なさい」

「そうですか…」


少ししょんぼりとしたリッキーに、なんでもっと喜ばないの?と彼女は訊いた。


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