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……………
「お疲れ様ー!」
「お疲れぇ」
帰りの小型バスの中でメンバー全員が順番にハイタッチをした。
「いやぁ、一時はどうなるかと思ったけど大成功だったっすね!」
「当たり前でしょ?僕のアイディアだったんだから」
「何言ってんだ。僕達を納得させたのはクラウディだろ?」
タオルで額や首の汗を拭きながら、先程のライブについて話を始める。
「まぁ…たまにはこうやって、ギターを置いて体を動かすのも悪くはないな」
「眼鏡をコンタクトに変えた雨宮さん、女の子達にキャーキャー言われてたじゃないっすか!今度からずっとそれでいけば良いんじゃないすか?」
「動く時は眼鏡ではマズいからコンタクトにしたまでだ。入れるのにどれだけ苦労したと思ってる?
目に異物を入れるなんて馬鹿な真似、最低限でしか行わん」
相変わらず…ミヤ君は現代っ子じゃないな。
「でもまぁ!今回出した『アクエスエット』も『サイレントレディ』に負けない位ヒットしそうな予感っすね!」
「あぁ。とりあえずは一安心だな」
日晴と雨宮が隣同士に座って、再びハイタッチをした。
「ねぇ、そういえばナオ君〜」
「なに?」
美空の隣に座ってきたのは、早速CMの飲料水を手に持っている雪之原だ。
クリクリの瞳が上目遣い気味にこちらを見上げている。
「なんで突然ゲリラライブなんてやろうって言い始めたのぉ?」
「え?いやまぁ…そんな気分だったから」
「本当に〜?ナオ君ってライブ自体、音響とかセッティングとか徹底的にやらないといつも怒るのにぃ」
怪しそうに眉間にシワを寄せて首を傾げる彼。
カフェにいる女の子に見せてやりたかったなんて…
もちろん口が裂けても言えるはずなんてない。
「だから…その…」
「それにあんな狭い路上を選ぶなんておかしいよ?もっと広い場所でやれば良かったのにさぁ。本当はまた別に理由があるんじゃないのぉ?」
「ヴッ…」
コイツ…
人の話ほとんど聞かないくせに、なんでこーいう事の鼻は利くんだ。
そこで必死に頭の中で言い訳を考えていたら、ひょっこりクラウディが顔を出した。
彼もまた同じ飲料水を持っている。
「あれ?クララどーしたの?」
彼はニコッと笑って、一枚のチラシを取り出した。
きょとんとした表情でその紙を受け取る雪之原。
「何これ?…サンライトカフェ歩いて10分。日本で話題のウサギカフェ新設オープン……
ウサギカフェ!!!!!!!!!煤v
ゴツンッ!!
興奮で立ち上がった瞬間、バスの天井に頭をぶつけた鈍い音が聞こえた。
「イッタ〜!でも!でも!このウサギカフェ凄く行きたかったんだぁ!え!?もしかして、ナオ君はこの為に近くでライブをしてくれたの!?」
「あ?…あっと…そうそう!帰りに寄ろうと思ってさ!」
「わぁ!スッゴく嬉しい〜♪ありがとぉ、ナオ君!」
3度の飯よりウサギが好きな雪之原は、アイドルらしからぬニヤニヤ顔をしてそのチラシを雨宮達へ見せびらかしに行った。
「ふぅ…危なかった。ありがと、ディには助けられてばっかだね」
彼はまたニコッと笑って、僕にも何かを見せてきた。
「ん?何これ?…サンライトカフェポイントカード。うわ、ポイントいっぱい貯まって……ん?」
何かに気がつき、再び笑っている顔を見上げる。
ディの持っているカードにはあのカフェのポイントがたくさん貯まっている。
ポイントはたくさん通わないと貯まらない。
つまり…
ゴツンッ!!
「イッタぁぁぁぁ!!!!煤v
雪之原に続いて美空も驚いて立ち上がり、全く同じように頭を天井に激しくぶつけた。
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