3
……………
「何よ?こんな所に呼び出して」
ボビーから廊下に呼び出されて、ビッキーはわかりやすく不機嫌な顔。
相変わらず感情が顔に出やすい性格だ。
そんな彼女に空気も読まず怯えもせず、ボビーは白い歯を見せてキラリと笑った。
「まぁ、大した話じゃねーよ」
「キモ」
無駄な美声が冷たく返されるも、とりあえず彼女を近くのベンチに座らせる。
彼はそのすぐ隣りに腰を下ろした。
「突然お手本を見せてあげると張り切っていましたが、ボビー大丈夫ですかね?」
ナイジェル・ジム・リッキーはふたりの様子を物陰から観察している。
「もし仮にあの小娘がボビーの告白を受け入れたら、どうするつもりなんだ?」
「それは…ないない。多分ない」
色々と想像をしたのか、ブツブツと独り言を漏らす。
若干焦り気味で頼りないジムを、横の男達は冷えた目で見ていた。
「いいか。耳かっぽじってよく聞け」
ついにボビーの秘技「とっておきの女の口説き方」が始まったようだ。
作戦@【いつもより目と歯を輝かせて、男前っぽく見せる】
「朝、君は太陽より明るく僕を照らし、夜、君は月よりも優しく僕に微笑む。
どんな時も優しく見守ってくれる君に…僕のハートはその甘い笑顔にノックアウトだ。
君の事を考えるだけで、僕は夜もまともに眠れないんだベイベ」
作戦A【とりあえず甘い言葉を片っ端から並べる】
「ウッグ」
何故かわからないが、陰で見ていた3人に突然吐き気が襲い咄嗟的に口を抑えた。
これはボビーヤバいんじゃないのか?
絶対ビッキーの逆鱗に触れ…
ん?
彼女の顔は予想していたより異なった表情をしていた。
頬を淡いピンク色に染めて、じっとボビーを見つめている?
「ね…ねぇ…」
彼女の異変にいち早く気づいたリッキー。
よく見ると、いつの間にかボビーは彼女の手をさり気なく握っていた。
嘘だろ…
まさか、こんな事って…
「オラ、そこまでだ!ボビー、お前ビッキーから離れろ、バカヤロー!!」
「わっ!ジム、落ち着いて!」
思わず立ち上がってしまったジムを、慌ててリッキーが物陰に引き戻そうとすると…
「……………。」
「…あれ?」
怒りのあまり周りが見えなくなっていたジムだが、きちんと視界を確認してみるとある事に気がつく。
先程までビッキーの隣に座って光輝いていたボビーの姿が見当たらないのだ。
「…ビッ……きぃ……ちゃ…」
ボビーは3人の真下で煙を出しながら倒れていた。
作戦B【ただしイケメンに限る】
「うわ!ボ、ボビー!大丈夫か!?」
心配の台詞が口からは出るものの、足は後ろに下がってしまったジムにナイジェル。
その瞬間、彼女はリッキーの存在に気づき、黄色い声を上げた。
「あ、リッキーじゃなーい!何してるの?もしかして私に会いに来てくれたの!?嬉しい!」
「いや…その、そうじゃなくて」
リッキーばかりに気を取られていた彼女は、ようやく残りふたりの存在にも気づいた。
「あ。ナイジェルとアドニスじゃない。何してんの?覗き?」
「ジムだ!なんだその反応の差は」
ひとり喚いているジムを無視し、ナイジェルが彼女に問いかける。
「お前何なの?さっきまでちゃっかりボビー君に目がハートマークになって釘付けだったじゃん」
「え?何?今の本気だと思ってたの?」
「へ?」
「あんなの芝居よ、シ・バ・イ!何?あのキモい顔と台詞!超ウケる!」
要するに、彼は小悪魔娘の餌食になってしまったらしい。
悪そうに笑うビッキーを尻目に、リッキーとナイジェルは哀れむ目でボビーの残骸を見つめた。
- 32 -
*PREV NEXT#
ページ: