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『はい、ワンッ!ツッ!ワンッ!ツッ!脂肪燃えろっ!脂肪燃えろっ!バーニングー!』
「バーニングー!!!」
メインルームの大型テレビを勝手に占領して、ビッキーが今流行りのダイエットエクササイズDVDを観ている。
自分磨きに余念のない彼女は、次々と新しいダイエット法、美容器具、健康食品に手を出すが、よく続いて2週間程度。
先日買った「一食置きかえるだけ、美容の糸蒟蒻ダイエット」はまさかの一週間で終了した。
理由という名の言い訳は「食べ物を制限するより、体を動かした方が痩せる実感があるから」との事。
なんだかんだで送られてきた3ヵ月分の糸蒟蒻が冷蔵庫を占領して、現在はナイジェルの酒のつまみになっている。
言われてみれば、最近アイツ痩せてお肌がプリプリしているような…
「エクササーイズ♪エクササーイズ♪」
しかしそんな事など全く気にしないビッキーは、いつ飽きるかもわからない新しいエクササイズを生活スケジュールに取り入れ、
今日も床に敷いたバスタオルの上で汗を流してトレーニング。
『ワンッ!ツッ!!』
「脂肪にド―――――ンッ!!!」
ジム「うるさいぞ、お前!隣の家、今日お通夜だから静かにしろ!」
「脂肪のお通夜―――――ッ!!」
ジム「脂肪のお通夜じゃない!お前の脂肪は、まだご存命だろうが!」
「…てか、アンタもうるさくない?」
ピロロロ♪
鳴り出したのは馬鹿ふたりにボソッと呟いたサラの携帯。
これはメールの着信音だ。
ソファーで足を組んだまま、定番の無表情な顔で電話を確認すると…
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From:ジョン・ヒル
添付:なし
タイトル:今から逝く
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〈このメールに本文はありません〉
サラ「…どこに?」
ガチャン!!
「…あ」
彼女がメールを読み終わったのとほぼ同時。
玄関の扉が強く開かれ
やってきたそこには送り主のサラの兄、ジョンが立っていた。
「あ!ジョンさん、お久しぶりです。どうしたんですか?こんな所まで」
出迎えたジムに対して、彼は通常の半分閉じられている目を少しだけ大きく開いた。
「相談が…あります…」
「それでわざわざこんな遠い所まで?一体何を相談しに来たんですか?」
「一応…サラにはメールをしたんですが…」
サラ「お兄ちゃん。こんなメールじゃ何もわからないわよ。しかも誤変換してるから、今から死ぬのかと思った」
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