……………

予想通り、ウエディングドレスに着替えたチョリ香には違和感の「い」の字もなかった。

綺麗な肌、細身の体。

先程のジェル美のオッサン臭いオーラは全く出ていない。

歩き方や仕草まで女の子。

どこからどう見ても女性にしか見えない完成度の高さだった。


会場に入っても何の問題もなかったし(むしろ可愛くなったので、逆に違和感が発生したが)

ジョンの機嫌も徐々に元の状態に戻ってきた。(ジミ子程ではないが)



司会者「では次のコーナーに参りましょう!」

「コーナーってなんですか…」


彼のかけ声とともに会場に何人ものスタッフが入ってきて、参列者へルームの隅に移動するよう指示を送り始めた。


「何が始まるんですか?」

「お待ちかねブーケトスのお時間です!ささっ!エミリーさん、この花束を持ってください!」

「は…はい、わかりました」


司会者から受け取ったのは美しい花が可愛いリボンで束ねられた小さなブーケ。

スタッフにより料理や飲み物、テーブルや椅子まで一時的に片付けられて、室内は広々としたスペースに早変わりしていた。


「女性の皆様、お待たせ致しました!
ブーケトスの時間です!どうぞ中央へお集まりください!」


「ブーケトスだって!」

「ヤバい、超取りたいんだけど!」


女性の参列者達が騒ぎ始め、我先にと移動を始める。

あっという間にスペースの中央は、20名程の人で埋め尽くされた。


「それではいきますよー!エミリーさん、準備はいいですか?」

「はい。大丈夫です」


花嫁姿のリッキーも、女性達に背を向けてブーケを投げる体勢に入る。


「それではカウントダウンいきますよー!

スリー!

ツー!

ワン!」


大きく前に屈み…


「どりゃぁっ!」


花嫁らしからぬ豪快なトスを…


「あれっ…?」





フワリと高く飛び上がった花束。



「キャァッ!こっち来たぁ!」

「キャッチよ!キャッチして!!」



ゴゴゴゴゴ!!!


「愛しのリッキーのブーケはどの女にも触らせぬわぁぁぁぁッ!!!!」

「キャァァッ!魔女よ!魔女が物凄い勢いで飛んできた!」

「私は来年までに結婚したいんだから!ブーケは渡さないわぁっ!」


花びらが舞い、怒号が飛び交い…

見知らぬ女も乱入し、女性陣は大混乱だ。


「ちょっと!先に取ったのは私!離しなさいよ!」

「それはこっちの台詞だし!」

「アンタが無理やりジャンプするからでしょ!!」

「わぁ、女の執念って怖いですねぇ。ね、新郎のジョンさ…」


ブーケに群がっている女性を見ていた司会者が目を向けると、新郎は何故かこちらに背中を向けてしゃがみ込んでいた。

非常事態なのか、必死に大きな声を出している。


「ちょっ…どうしたんで……あああ!!!」

慌てて駆け寄った司会者の目に映ったのは、

後頭部が地面にめり込んでいる新婦、エミリーの姿。


「えええ!?何これ、どーしてこんな事になったの!?」


「…っ……足を…捻って……っ…頭っ…変なとこっ……打った……

ヒールッ…て…怖……(チーン)」


ジョン「エミリーッ!しっかりしてくれ、エミリーッ!!エミリィィィィッ!!!!」










サラ「あら、お色直しの時間だわ。ナイジェル。花嫁のエスコートをお願い」

「承知しました」

司会者「この状態でもお色直しやるの!?救急車呼びましょうよ!」


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