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……………
「ロビン君はご趣味などありますか?」
気づけばお昼の12時を過ぎた時間。
ワインやちょっとした食事を取りながら、サラが話さない代わりに彼女の父が彼に対して質問を投げかけている。
「はい。やはり勉学や読書でしょうか。昔から色々と覚えたり考える事が好きでして、書斎にあるたくさんの本を読んだり、難しい問題にチャレンジする事が昔から大好きでした」
…世の中にいるんだ。
勉強が趣味だとか言う人。
「へぇ、いるんですね!趣味は何ですかと訊かれて『勉強』と答える子が!」
父親が私の思っている事と全く同じ事を言う。
「お恥ずかしながら。それから数理論理学についての資料の…あ、私特に数字の羅列が好きなんですよ」
「数字の羅列?」
「あっそうですの!私の息子、計算が大得意なんですのよ!」
そこでまた口を挟んできたのは、自慢大好きロビンの母親だ。
その言葉にサラも少しだけ表情を変える。
「計算というと…暗算とか?」
「まぁ、軽く…癖というか」
「そうなんですの!私が生徒の授業をしてる時にも、アシスタントをしてたこの子が癖で勝手に計算してポロッと答えを口に出しちゃう程!
面白いでしょう? 計算複雑性理論のような難しい問題でも…」
再びロビン母の早口な話が始まる。
それだけ早く唇を動かしていると、真っ赤な口紅が落ちてしまいそうだ。
自分の息子はアインシュタインの生まれ変わりだとかなんとか…
…とにかく長い。
長いし、クソどーでもいい。
みるみるうちにサラの表情が険しくなっていく。
結婚をしてロビンさんとは上手くいったとしても、義母になる彼女とは仲良く出来る気がしないな。
「凄いですね!ではその才能が本物かどうか私がテストをしてみましょう!」
父親も調子に乗って適当な足し算や引き算を出し、ロビンもすぐに答えを導き出す。
凄い。確かにどんな暗算能力を持っているのかと興味はあるが…別に面白くはない。
親同士で話が盛り上がる中、ロビンはサラの方向を向いた。
「サラさんのご趣味は?」
「え?」
関係のない事ばかり考えていたからか、彼女は突然の質問に少し慌てたようだ。
「あぁ…えっと…バイ…痛ッ!」
彼の質問に「バイク」と答えかけた途端、彼女はテーブルの下で父親から足を蹴られた。
「ほう!それでそれで…」
仲良く相手方の母親と話すフリをして、こちらの話もきちんと聞いているらしい。
この地獄耳。
「え?今、何?」
「………。趣味というわけではないですが、私は途上国の子ども達の為に、現地へ行ってボランティア活動を定期的に行っています」
ロビンの質問に対し、だるそうに訂正した。
このような回答をしないと、後で父親に何と言われるかわからない。
「バイクを乗り回して走る事」なんて野蛮な回答をすれば、この婚約だって破棄されかねないからだ。
その話に興味を持ったロビンはテーブルから少し身を乗り出した。
「へぇ、お若いのに偉いですね!具体的にどんな事をしてるんですか?」
「そうですね。貧困に悩む貧しい人々が住む国を頻繁に訪れては、食べ物や物資、資金を寄付。それから子ども達と遊んであげたり勇気づけたりしてます」
もちろんだが、私はこんな素晴らしい出来た人間ではない。
全く正反対の生活をしている自分に嫌悪感を抱いた…。
「そうですか。いや、私は全くそのようなボランティア等に参加した事がなくて…見習わないといけないですね」
「そんな…ん?」
何かに気がついたサラは声を漏らした。
彼女の瞳に、向こう窓からこっちを覗いて笑いを堪えているジムとビッキーの姿が映ったのだ。
「だはっは!聞いたか今の!?貧しい国の子ども達にボランティアだってよ!嘘丸出しじゃねぇか!笑」
「キャハハ!私この間見たわよ!あの人が道端で小学生にカツアゲしてんの!」
バリンッ!!!
サラが目に見えるか見えないかの速さで腕を振った瞬間、ロビンの後ろにあった窓ガラスが勢いよく割れた。
彼女の手元に置いてあったフォークが…なくなっている。
「「…ッ!!!?」」
周りは驚き、一瞬で静まり返った。
父親でさえ言葉が出ない状態。
首を恐る恐る前に戻したロビンは震える口を開いた。
「…ご…ごめんなさい。…あの…これからはそういうボランティアもしますんでっ…」
「え?」
彼女はその言葉で我に返り、慌てて席に座り直す。
「はは。あの、違うんです!そのえっと…私、前世がマサイ族でして…動いている物を見ると衝動的に狩ってしまう癖があるんです!」
「あ…そ…そうなんですか。意外とワイルドな一面もお持ちなんですねっ…!」
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