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……………
「キャー!美空くーん!」
「クラウディがこっちに手を振ってくれた!私もう幸せすぎて死ぬぅ!」
あれから数日後のシアトル公演。
アンコールの曲も終了し、コンサートは熱気冷めやらぬまま無事に幕を下ろした。
ある程度片付けを終え、あとはエマのいる控え室でゆっくり休もうとweather lifeの5人は階段を下りている所だった。
ガチャン!
「たっだいまー!エマちゃん!」
「…ッ!」
突然扉を開けた美空。
その後ろには他の4人のメンバーも。
彼女は丁度部屋の掃除をしていたようだ。
いきなり部屋に入ってきた美空に、ふきんを持ったまま少し驚いた表情をしていたが…
「お…おかえり……なさい…」
そのままの体勢で、美空だけではなく全員にそう言ってくれた。
「あり?エマちゃん隠れないの?僕だけじゃないのに?珍しい〜!」
初めての反応に、物珍しそうに美空はエマの顔を覗く。
あのホストクラブの日。
コイツは半分の時間は気絶しており、詳しい事情を聞かされていないのだ。
そこで「邪魔だ」と言わんばかりに扉の前に突っ立ったままの美空を雨宮が押し退けた。
「エマさん、大分免疫付いてきたみたいっすね!
またホストクラブ開催してもらって、どんどん男にも慣れてもらわなきゃっすよ!」
「その必要はない」
「…え?」
予想外の一言。
そう答えたのは美空を退かした雨宮だった。
何も聞こえず、状況がわかっていない彼女の顔を見つめ、彼は日晴の方向を見た。
「彼女は我々とだけコミュニケーションが取れれば結構。必要以上に他の男に慣れさせる必要はない」
「え?でも前に雨宮さんが、仕事をこなす為には男性恐怖症を克服する事が課題だって…」
「彼女は異性と関わる可能性がある業務は一切禁止する。
もちろん受付や外回りもだ。
今回のような問題は、スタッフを最低限にし過ぎない対策を取っていけば今後心配ない。
必要以上にストレスを与えれば、作詞にも影響する可能性があるからな。これは命令だ。
以上だ。各自休憩を取れ」
厳格な低い声で言い放つ。
タオルで軽く汗を拭き、再びスタッフの元へ向かうため雨宮は部屋を出て行く。
その返しにもちろん日晴の顔は「ぽかん」だ。
「え…。なんかこの間と話が全然違うんすけど」
「あははー。キョウ君って昔から本当鈍いよねぇ」
「なんすか、その言い方!だって変じゃないっすか!あの仕事には超厳しい雨宮さんが意見をすぐに変えるだの、可哀想だからやらなくていいだの!」
「わかってないなぁ」
独特の赤い目を閉じて怪しく笑う雪之原。
「僕達以外の男と仲良くする所は、見たくないって意味だよぉ」
「はぁ?なんで?」
「これ以上は教えなぁ〜い」
ケラケラと笑ったウサギ顔が余計憎たらしい。
美空「そっかそっか!ミヤ君もようやくわかったんだねー!エマちゃんは僕とだけイチャイチャしてればいいって事に!」
「ひゃぁッ!」
ガシャン!!
雪之原「ゼンッゼンわかってないお馬鹿がココにもいるねぇ」
日晴「さすがに抱きついたら弾き飛ばされるって事。いい加減学んだ方がいいっすよ、美空さん…」
fin
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