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……………
「この白菜と、ニンジンと…玉ねぎをください」
「はーい、いつもありがとう、お嬢さん!」
いつもの野菜屋さんでたくさんの商品を買う。
よく通うおかげで、ここのおばさんも私の顔を覚えてくれたみたい。
あとは近くのスーパーに行って…それから…
To:バレルさん
件名:こんにちは
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今日久しぶりにアメリカに戻ります。
食料品と救急箱を置いておきますね。
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もうすぐ飛行機に乗り込み携帯を触れなくなる為、早めにメールを送っておく。
友人へ。お兄ちゃんへ。
そして何十通目かも覚えていない、バレルさんへのメール。
未だ一度も返事が返ってきた事はないけど。
それでも私はこの行為を無駄だとは思っていない。
あの事件があってから、バレルさんは3ヶ月である程度回復し自宅療養へ移った。
バイトも一時お休みする事にしたらしく、家からもほとんど出ていないみたい。
ケンカも少し休憩かな…?
「ローラ・リバースさんですね?」
「はい」
「お荷物は2番ゲートになります。10時までに搭乗口に向かってください」
「わかりました」
久々の故郷への里帰り。
一時期はあの場所へ行く事さえ躊躇っていたけど、今はもう違う。
会う事はまだ彼も抵抗があるみたいだから、いつもみたいに玄関にこれを置いていくだけだけど
食料品は一応食べてくれているみたいだし。
もう…怖くないよ。貴方の事。
貴方が外の世界へ心を開いてくれるまで。
貴方が素直な心を取り戻すまで。
貴方がいつか笑ってくれる日を願って
私は傍にいます。
ブオオオオオッ…
エンジン音が響く。
機体が大きく揺れ、
走り出し…
陸から離れ、飛行機は大空へ飛び立った。
fin
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