……………

ローラが部屋に戻ると既にキッチンから料理が運ばれ、テーブルに並べられていた。

かなり雑な置き方だけど、私がリッキー君と話している間にバレルさんが運んでくれた様子。



「誰だ?」

「リッキー君でしたよ。でもバレルさんを呼ぼうとしたら『邪魔だから』って、すぐに帰っちゃいました」

「余計な真似を…」


舌打ちをする彼だけど、目の前に美味しそうな料理があるからかあんまり不機嫌そうではない。


「さ!せっかく作ったんですし、温かいうちに食べましょう」

「…………。」



ローラが「いただきます」と言い切る前にバレルはお椀を手に取り、肉じゃがをかきこむように食べ始めた。

その勢いに彼女は手を合わせたまま呆然としている。

噛んでるのかな、と心配になるくらい。

本当によっぽどお腹が空いていたんだな。


「ふふ。余程腹ペコだったんですね。自分で作ると美味しいでしょう?」

「…………。」


その質問には照れ臭いのか答えてくれない。

まぁ、こんなに食いつきがいいって事はきっと美味しいって証拠なんだろうな。

ローラは豪快な食べっぷりを見せるバレルを見てほっこりし、そして自分のお椀を取った。

どれどれ、私も食べてみよう。




ぱくっ!




「ヴッ…!Σ」



一口食べた瞬間、突然箸をテーブルに落とした。

その落ちた箸が視界に入り、バレルも手を止める。



「どうした?」

「……あのっ……えぇ……うっ…!」










不味い…!!


とんでもなく…



美味しくない!!!Σ




今にも吐きそうに口を抑えるローラを見て、彼は何事かと固まってしまっている。




な、なんでこんなに不味いの!?

私が日本で作ってた時は、失敗なんて全然した事なかったのに!



「うぐっ……オエ゛ッ…」

「……。」


背中を丸めてうずくまってしまう。

さすがに彼女の反応が気になったのか、バレルは珍しく心配そうな表情で顔を覗いた。


「お………おドイレ…借りでッ…うっ……いいですが…ぐっ…」

「…あぁ」




ガチャン!!


彼の了解後、すぐさまトイレに駆け込む。

バレルは無言でそれを見た後、何事もなかったかのように再び肉じゃがをかきこみ始めた。




「ヴヴヴッ…気持ち悪いっ…」


少し飲み込んでしまっただけで、この気分の悪さ。

トイレに駆け込んだ彼女は必死に原因を思い出す。


私が教えた手順で間違いなかったはず。

食材だって…ちゃんと消費期限を確認したし。

食材も手順もおかしい所がないという事は…原因はその他に…


「………ッ…」


だとすると…原因はアレしかないっ!


ローラの脳裏に蘇るのは、バレルが取り出した黒い液体。

あれがもし…醤油じゃなかったとしたら!

あっ。そういえば他の調味料のボトルにも何も書いてなかった。

砂糖や塩とか勝手に思い込んで使ってたけど…

まさか…何か変なものが混ざってたんじゃ?





…!!Σ






ある事を思い出して、顔が真っ青になるローラ。



そうだ、あの肉じゃが…



リッキー君にもあげちゃった!


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