コンコンコン!






とある日曜日の朝。

日差しがカーテンの隙間から注いでくる時間だが、部屋の中はまだ暗い。

せっかく今日はバイトが休みだというのに、玄関の扉が叩かれる音が聞こえた。




「…………。」





…誰だ、んな時間に。

クソ眠い。



起きたくないのか、バレルは横たわったままベッドの中から出てこない。

あの女なら来る前に事前にメールをしてくるはず。

何も連絡がないという事は恐らく違う。




コンコン!




だとすると、新聞の押し売りかイカれた勧誘か…




コンコンコン!!



「チッ」



もっと頭のイカれたアイツだけ。








リッキー「バレル〜?いないの〜?」





「…………。」


うぜぇ。

なんでしょっちゅうここに来るんだ、アイツは。

無視だ、無視。

どーせロクな用もねぇ。

シカトしていれば勝手に帰る。


声が聞こえて少しだけ開いた瞳も、すぐに閉じてしまった。





「バレル〜?」


「……………。」


「……………。」





名前を呼ぶ声が聞こえなくなる。

去って行く足音も微かに聞こえたので、リッキーは諦めて帰ったようだ。


ようやくまた一眠り出来…





ガンガン!!


「バレル〜?」




横たわって頭を向けている壁。

今度はその壁側の大きな窓が叩かれる音が聞こえた。


チッ。

わざわざ反対側に回り込んできたのか。

何度来られたって出ねぇから。いい加減帰れよ、ウゼェ。

何考えて…














ガラガラガラ!!



「あ、バレルやっぱり居留守使ってたんだね。おはよう」

「…どうやって登ってきた?2階だろ、ここ」

「まぁまぁ細かい事はいいから!話があるから入っていい?」

「帰れ」

「こんな高い所からなんて、怖くて帰れないよ」

「じゃぁ入っていいから玄関から帰れ」

「うっわ、相変わらず部屋汚いね。お邪魔します」

「帰れっつってんだろーが」



生身の体でどうやって登ってきたのか。

服も体も全く汚れていない。

リッキーは綺麗なジーンズをパタパタはたきながら、バレルの言葉も聞かずに部屋の中へ入ってきた。

思わず寝癖だらけの頭を掻く。

朝から迷惑な客だ。


「あ、バレルまたケンカしたの?顔に青あざ出来てるね。大丈夫?」

「うっせぇ、帰れ」

「でね!話っていうのは…えっと…バレル、今日一日忙しい?」

「忙しい」

「それじゃ俺と買い物に行こう(・∀・)」

「貴様の耳は使いモンにならねぇみてぇだな…」


キレ気味の顔で指をゴキゴキと鳴らされるも、リッキーは聞こえないフリをして帰る気配を見せない。



「バレルさ。来週の土曜日、何の日か知ってる?」

「知らん」

「え、知らないの?じゃぁヒント!ある人の誕生日だよ」

「知らん」

「もう!カレンダー見て!3月31日だよ!?ローラさんの誕生日でしょ!」



「…………。」



あっ。

バレルの表情が…


「だから何だ?」


変わらない。



「いやいや、『だから何だ?(真似してる)』じゃなくて!
バレル、普段からローラさんにお土産貰ったり料理作って貰ったり色々お世話になってるんでしょ?
誕生日くらいお祝いしてあげればって俺は言ってるの!」

「ふざけんな。なんで俺がんな事やらねーといけねんだ」


バレルは面倒そうに舌打ちをして、キッチンまで歩き水を飲み始める。

「知らない、なんでもない」と言いつつ頭の中で何かを考え始めると、全く別の行動を取る癖は昔から変わっていないようだ。

確実に何か考えてる。

もう一押しだ。




「今度ウィンディランにローラさんが遊びに来る時、ウチで彼女の誕生日パーティーやるんだよ。
多分こっちにも少しは顔出すでしょ?
バレルもプレゼントくらい渡してあげれば?」

「知らん」



あ、意味もなく冷蔵庫を開けてる!

何も入ってないくせに!

あとちょっとだ。



「そんな照れないでよ。俺も付いて行ってあげるから、今日一緒にプレゼント買いに行こ♪」

「帰れ」



無意味に服の毛玉を取り始めた!

もう一息!



「今、デパートで北海道物産展やってて、和食の試食いっぱいあるよ!」



「…………。」









かかった(^○^)


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