12
……………
「チッ。なかなか開かねぇな」
警備員はふたりがかりでドアにぶつかったり蹴ったりを繰り返しているが、漫画のようにはなかなか開かない。
鍵も硬くてビクともしない。
「オラ、開けろテメーら!もう逃げられない事はわかってんだろーが!」
もうひとりの警備員は、強く扉を叩いて恐ろしい口調で畳み掛ける。
まるで借金の取り立て屋だ。
「…………。」
しかし、これだけ叫んでも中からの返事はない。
「どうする?」
「仕方ない。観念して出てくるまでここで待つか」
全員がその言葉に頷いた途端、不気味な足音と何かを引きずるような音が聞こえてきた。
奥から更に柄の悪そうな金髪の警備員が、数人をかきわけて前に出てきたのだ。
「仕方ない。ほんじゃ最後の手を使いますか」
ニヤリと顔を引きつらせたその警備員の手には、長い鉄パイプが握られている。
「ッ…マジか!?お前」
「出てきてくれなきゃ仕方ないだろぉ」
彼はその鉄パイプをブンッ!と、大きく振りかざした。
その瞬間…
ガチャン!
「…ッ!?」
パイプとドアノブがあと数センチの所で鍵が開くような音が聞こえた。
遂に降参したのか?
金髪の警備員はそれを既の所で止めた。
「開いたか?」
不気味な笑みを浮かべ、持っていたパイプを床に下ろす。
「やっと逃げても無駄だって事がわかったか。随分と手間をかけさせやがって」
先頭に立っていた彼がドアをゆっくり開くと、部屋の中は何も見えない程真っ暗だ。
「おい、どこにいる?出てこい!」
中に入ってみるが、侵入者のふたりがどこにいるかなど全くわからない。
物音ひとつしない。
まぁいい。この部屋の中にいるのは確かなのだ。
電気をつけて隅々まで探せば、絶対に捕まるはず…
(…ボビー!)
彼女が小声で名前を呼ぶと、ボビーはキラッとウィンクで返した。
(OK☆)
指示された通り、思い切り赤色のレバーを引く。
パァァァッ!!!
「…ん?」
目の前の大きなスクリーンに映像が映り始め、警備員達の視線を誘った。
ふたりは画面に釘付けになっている彼らに気づかれないよう、音を立てずにそっと部屋を出る。
「ボビー!お願い!」
「任せたまえ!」
彼はどこかで見た事のある針金を取り出し、素早く作業に取りかかった。
まるで別人が取り憑いたように指先を動かす。
そして…
ガチャン!
・
・
・
・
ギャァァァァァ!!!!
数秒後、部屋の中から警備員達の叫び声が聞こえてきた。
ガチャンガチャン!と部屋から出ようとする彼らの騒ぎ立てる物音。
しかし、扉の方は開く気配がない。
警備員A「オイ!なんで鍵がかかってんだ!?俺達が入った時はかかってなかっただろ!」
警備員B「内側からなら開けられるだろ!早く開けてくれ!」
警備員C「それがっ…鍵を開ける部分がガムテープでグルグル巻きにされていて、内側から鍵を開ける事が出来ないんだ!」
ギャァァァァァァァ!!!!
警備員達の叫び声がピークに達し、それを越えるとバタバタと倒れてゆく音が扉の向こうから微かに聞こえた。
部屋から無事に脱出したサラとボビーは、やってやったりと笑い合ってハイタッチ。
彼の左手には、このテレビ局へ侵入する為に使用したピッキング用の道具が握られていた。
「フッ、やったわねボビー!アンタにこんな特技があって本当に助かったわ」
「まぁね☆でもまさかこんな所で役立つなんて僕もビックリさ」
「大手柄よ、偉い偉い!さ、早くジム達を探しましょう」
その瞬間、ボビーの目にサラの背後から何者かが近づいている影が見えた。
「サラちゃん、危ない!」
ガァンッ!!
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