……………


「あ」

一段落した後、ベッドの中で彼女が何か思い出した声を漏らした。


「どうした?」

「ジムの洋服…忘れてきちゃった」

「俺の服?俺何も買ってないけど」

「違うの、私が買ったのよ!最後の店で!ジムにすっごく似合いそうな服があったからね、『コレだ!』って思ってすぐ買ったの!
それに私、買い物の度にいつも連れ回してるし。お詫びと言っちゃなんだけど…」


指をもじもじさせ、言葉の語尾が弱くなった。

そういう表情も俺にとっては可愛くて仕方ないな。


「お詫びって…。別に詫びる事でもないだろ」

「だって嫌じゃないの?」

「嫌じゃないよ」


ジムの腕の中で、パァッと彼女の表情が明るくなった。


「そうなの!?疲れたり面倒臭くなったりしない!?」

「それはする」

「……………するんだ」

「へこむな(笑)するけど本当に嫌じゃないぞ?どうせここにいたって毎日やる事ないし、お前に振り回されてる方が騒がしくて逆に楽しいし。
それよりわざわざ俺の服まで買ってくれてたんだな。何も知らずに強引に連れ出してごめん」

「いいよ、そんなのっ」


べったりと自分の腕にくっ付いてくる姿は、まるでお兄ちゃんが大好きな妹のよう。

ったく、すぐ笑ったり怒ったりしょげたり…忙しい奴だな。


でも、なんだかとても心が満たされている。


多分こういうのを世の中の人は「幸せ」っていうんだろうな。



「じゃ、明日その忘れた荷物を一緒に取りに行くか?」

「うん、行く!絶対よ!約束だからね!」

「ああ。約束な」


お互い自分の小指を相手の小指に絡ませ合い、にこりと笑って指切りをした。

明日もまた、騒がしい一日になりそうだ。





「あ…。俺もナイジェルのシャンプー…忘れてた」

「…は?」



fin


- 11 -

*PREV  NEXT#


ページ: