……………


「じゃぁね、ローラさん」

「…うん」


照れているのか、小さく頷くローラ。

時計の針は9を指している。

しかしそれは夜の9時ではなく、小鳥のさえずりが聞こえる朝の9時。


あの後、置きっぱなしだった参考書を片付けている時。

クラウディ君に「帰りたいなら帰っても構わない」と言われたけど、私はそれを断った。



なぜならもう、先にメールを送ってしまったから。



To:バレルさん
件名:無し
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今日は別件で用事が入ってしまったので、
そちらへ行けなくなってしまいました。
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初めて送った…バレルさんへの嘘のメール。

罪悪感が生まれたけど、それでもいいと思える程

私はクラウディ君と一緒にいたいと思ってしまった。


結局朝まで共に過ごしてしまい、朝ご飯を食べた後に帰る事に。




「ローラさん」

「…ん?」

「後悔…してないですか?」



いつもは堂々としているクラウディ君が玄関で見せた、珍しく不安気な顔。

ふふ。

昨日の狼みたいな顔はどこに行っちゃったのかな。

今は私の方がちゃんと、お姉さんの顔が出来るよね。



「してないよ」

「…本当に?」

「うん」


ニコッと笑うと、彼は前髪を指で流しながら笑い返してくれた。



「クラウディ君、ありがとう。じゃぁね」

「また、宿題見てくれますか?」

「今度はちゃんと勉強する気ある?」

「わかりません」

「正直だね」


やっぱり、素でこんなに笑い合えるのは彼だけ。

図書館で出会ったあの時は、まさかこんな関係になるなんて思ってなかったけど。



今では私にとって、かけがえのない大切な存在。


紳士的でちょっとキザで


だけど誰よりも私の事を考えてくれる、優しい人。


もう君は私のサポート役なんかじゃないから。


また来るね。



バイバイ。



fin


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