Second

あの女にあったのはいつだっただろうか。
いや、いつ出会ったかなどどうでもよかった。
いつの間にか出会っていて、いつの間にかあの女に惚れていた。
そして確かその直後だった。
あいつが土方に惚れていると知ったのは。
人づてに聞いたのではない。本人がそう言ったのだ。正確には、本人に土方への手紙をVラブレターVと称して渡されただけなのだが。
なぜか棗は恥ずかしいからと、1度も自分で手紙を渡すことはせず俺づてで渡してばかりだった。
何度も何度も土方に手紙を送っているものの、未だに土方は返事を1通もかいたことがないようだった。

初めて棗と関係を持ち出したのは俺だった。
しかし、振られ続けているお前を慰めてやる、なんて馬鹿馬鹿しい言い訳に乗ったのは彼女だ。

それから何となくその関係は続き、棗は俺と関係を持ちつつ土方に手紙を送り続けている。









温かい棗の肌に唇を沿わせると、棗は甘い声を出してくすぐったそうに身じろぎをする。
いつも思うのだ。
こんな風に恋人のように体を重ねている時、棗は誰のことを考え、何を思っているのだろう、と。
土方のことを考えているのだろうか、それとも自分の性欲を満たすことを考えているのだろうか。
どちらにしろ、俺のことを考えいないのだけは確かで。
だから俺は最中に1度も瞳を開いたことはなかった。





まるまって眠る棗の黒い髪をそっとなでる。さらさらとしたそれはシャンプーの香りがして、小さなその頭に顎を乗せて目を閉じた。

俺の方が知ってる。あんなマヨより、こいつのことを俺の方がよく知ってるんでィ。
だから、だから。

「・・・俺に惚れちまいな。」

細く白い棗の体を1度だけぎゅっと抱きしめて、俺は布団から這い出した。







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