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知っていたことを改めて突きつけられて、そうして勝手に落ち込んでいる。
それが今の私の現状、心情。我ながら的確な表現だと思うが、本当に「勝手に」想って傷ついて落ち込んでいる。いや、傷ついたなんていいかたをしてしまうと語弊があるか、これでは加害者がいるようだ。けれど現実はそうではなく、本当に勝手に自分で泣きたい気持ちになってしまっただけであって、誰も悪くはないのだ。被害者ぶりたいわけではないけれど、うん。被害妄想、これが一番近いのかもしれない。
秋大会、これに勝てば春に甲子園に進める。そのためにはあと一勝。青道高校野球部は都内でも有数の強豪高校だが甲子園にはここ数年進んでいなかった。それがあと一歩で、となれば学校を上げての応援になるのも当たり前で、もとから運動部に力を入れている学校だからこそ準々決勝から全校応援にはなっていたし、なんなら初戦から吹奏楽部は応援に行っていた。私もトランペットを抱えて、精一杯応援していたし、心から野球部には頑張ってほしかったから、遠い場所に居る選手の耳に少しでも届けと音を鳴らした。
その決勝戦と言う日に、体調を崩してしまった。どうしても応援はしたかったから球場にはいったのだが友人に顔色の悪さを指摘され熱があることがばれ、バスの中で待機を命じられてしまった。
携帯で試合自体は見ていたし、勝てた時は一人で騒いで余計に具合を悪くさせたくらいにははしゃいだ。けれど本当はあの場にいて応援をしたかったのだ。吹奏楽部ではなければできない、楽器をつかっての盛大な応援。
青道の選手がベンチ前で喜びを露わにしている光景がアップで映される。青と白、今は大分土で汚れているけれど、それ以上に輝いて見えて、眩しく見えて。その中に私がひっそりと思いを寄せている彼もちらりちらりと映っていて、その顔が笑顔で満ちているのが分かってしまって。感情が高ぶって唇が震える、視界が歪む。胸が、潰されたように痛い。
嫌な、考えだった。汚い思いだった。それでも確かに浮かんでしまった考えは沈んでくれることはなく、べったりと私の皮膚に張り付いてきっと柔らかい部分を溶かしたのだ。
私一人の応援がなくったって、当たり前だけれど彼らに影響はない。
だってそうだ、彼らの頑張りは私の応援があろうがなかろうが関係のないもので、そう、関係の、ないものだ。
私の下心の乗ったトランペットの音が、この場に響いていなくて良かったかもしれないと、そんな風に思いなおすくらいには今日までの自分が恥ずかしくて、とてもじゃないけれど眩しくてきれいな彼らを直視することなどできなかった。
投稿日:2018/1111
更新日:2018/1111