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 普段以上に太陽光が眩しく感じるのは気のせいだろうか。つい目をそうっと細めて、それでもまだ視神経がじんと光に犯されるようなそんな感覚を感じて右手の手の平で遮るように傘を作った。
 日が、高い。思えばこんな時間に面もせず外に出たのは久しぶりかもしれない。日中の任務も勿論あるが朝昼関係なく面をして顔を隠す部署にいたため遮られることなく瞳孔を通過してくる日光にたじろいでしまったのもしょうがないと言われればしょうがなかった。そう、勘のいい人であればこんなことを私がつらつらと考えている訳も分かっていただけるだろうが、「いた」のだ。火影直属の部隊、暗殺戦術特殊部隊、通称暗部。その任務の特異性や顔を隠すなどの匿名性からも暗黙の部隊と言われる暗部。しかし大名の護衛と賊の殲滅の任務からクタクタになって帰ってきたと思ったら早々に呼び出され、有事の際(木の葉崩しの際も大名の護衛に当たっていた)に里にいなかったことを上役からチクチクと小言を刺され、三代目のことは伝令では聞いていたとはいえ五代目として初めて対面した綱手様を拝見してああ、本当に三代目はいなくなってしまったのだという感慨にふける間もなく、その五代目様から暗部を解任されてしまった。
 四代目が亡くなり、三代目が火影様として復帰して暫くして暗部として配属された私ではあったのだが、悲しいことに暗部としてしか任務をこなした覚えがない。忍が少ない時期であったし、戦争が落ち着いてきていたとはいえ下忍にすらあまり簡単な任務が回ってくることがないようなそんな時に中忍にあがり、そして九尾の事件があってその折に火影様よりお声がけいただき暗部に身を置くことになった。何が言いたいのかと言うと表の部隊にいた時ですら血生臭い、それことあまり人に言えないような任務ばかりこなしてきたせいで、自分で言うのもなんだが暗部という部署は私にとっては大変過ごしやすく、向いていたのだ。
 それが、である。綱手様の様子から察するに、というか綱手様自身も上役のいう有事の際に里にいなかったというのもあり、加えて三代目からの任務に身を置いていた私に責任を…などという雰囲気ではなかった。いや、別に上役の御三方も私に責任を追及しようとかそういった感じではなかった。しかし暗部解任という言葉は相当なショックを私に与えているようでその理由を綱手様に聞き縋るということすらできずに茫然としつつもそれを承諾してしまっていた。
「(しかし上忍か)」
 中忍という身分のまま止まっている表の自分ではあったがあのベストに袖を通したことはなかったりする。試しに自分があれを着ているところを想像してみたが恐ろしいほどに似合わないだろうという事しか分からなかった。表の上忍ってどんな任務があるんだろう。暗部の任務は表の様にランク分けできるものではないのでよく聞く上忍はA、Sランクの任務が〜などと言われてもその二つのランクの任務内容が良く分からない。
 久しぶりに木の葉に戻ってきたというのになんだか億劫だ。あーあ、と喉の奥でため息に近い空気を吐き出しながら、誰かに聞けばいいのか、と思い至るも正直思い当たる人物がぱっと浮かんでこなかった。ショックである。
考えても見れば中忍に上がってすぐに暗部入り、同僚は顔も名前も分からない。アカデミー時代の友人などお互いにお互いを思い出せな可能性の方が大きい。下忍で同じ班になったうち一人は任務で死んでしまい、もう一人はうちはだったため言わずもがな。
 ああ、うん。墓参りでもしよう。現実逃避のように空を見上げた時、青い空を背景に飛ぶ呼び出しの鳥の中に暗部のそれがいて、もう私にそれが飛ぶことも無いのかと思うと唐突に自分の居場所が輪郭を失ったように感じた。


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投稿日:2017/0926
  更新日:2017/0926